悪役なりの精一杯の恋だから【ダイヤのＡ】

▽.２５ ページ26

◇倉持side◇






池野は人をいじめるような奴じゃない。



そう思うから、



さっきの行動にも意味があるはずだ。



それに、池野の顔を悲しそうな顔をしている。



けど、俺には池野のことはわからなくて



怒鳴ることしかできなかった。



そんな自分が嫌だった。






倉「…池野、今日は学食か？」


貴「そうだけど…」


倉「行くぞ」


貴「え…？」






俺は池野の手を握り、引っ張った。



そして、そのまま食堂に連れて行った。





◇





俺等は向かい合わせに座り、コロッケカレーを食べた。






倉「池野は何が好きだ？」


貴「何って…？」


倉「食べ物でも色でも、何でもだ！」


貴「急にどうしたの？」





倉「池野のことが知りたいんだよ」






池野のことがわからないなら、知ればいいんだ。



色んな表情や性格、食べ物や色…



池野のことを知っていれば、



さっきの事だって、ただ怒鳴るだけじゃなく



もっと、いいことを言えたはずだ。






貴「私のことを知りたいって…」


倉「悪いかよ」






いざ、口してみると恥ずかしいものだ。






貴「ぷっ…おかしな倉持」


倉「笑うなよ…」


貴「いいよ！私のこと教えてあげる！」






今まで見てきた池野の笑顔の中で、



一番嬉しそうな顔をして言った。






貴「倉持、明日ひま？」






明日は土曜日。



午前は確か練習あったけど、午後はオフだ。





倉「午後からなら暇だぜ」


貴「じゃあ、デートしよっか」


倉「は？」

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