悪役なりの精一杯の恋だから【ダイヤのＡ】

▼.１８ ページ19

◇貴方side◇






貴「失礼します」






保健室に行くと、先生は居なかった。



まぁ、居ないことはよくある。






松「案内してくれてありがとうございました！

あとは一人で大丈夫です！」






香菜ちゃんは頭を深々と下げ、お礼を言ってくれた。



先生居ないから自分で手当しないといけないよね？



自分で手当てするのって意外と大変だし、難しいよね…。






貴「そこに座って。一人だと大変でしょ？

私が手当してあげる」


松「いいんですか！？ありがとうございます！」






香菜ちゃんは嬉しそうな顔して、椅子に座った。





こうやって、香菜ちゃんと話してみると素直ないい子だな。



なんか小動物みたいで可愛いし。



私と違って、まさに主人公やヒロインって感じ。





私は消毒液など必要なものを適当に準備する。






松「あの…先輩って池野A先輩ですよね？」


貴「そうだけど？よく知ってるね」


松「池野先輩は美人で有名ですし…

それにいつも御幸先輩と居るから」






ああ、



本音は一也のことを聞きたいのか。



それなら直球に聞いてくればいいのに。



そう思いながらも、私は香菜ちゃんの足を手当する。






松「池野先輩ってどうして御幸先輩と居るんですか？」


貴「何でそんなこと知りたいの？」


松「御幸先輩って最低な人じゃないですか…。

池野先輩は他にもっといい人が居ると思って。

もっと自分を大事にした方が…」






香菜ちゃんも倉持と同じことを言うんだな…。



何でこんなに優しいんだろう…。





私、一也のことが好き、大好きだよ。







貴「別に。香菜ちゃんには関係ないよ」







でもね、私は一也のことを応援するって決めた。







貴「あんたこそ最近、

一也と仲よくしてて目ざわりなんだけど」


松「え…？」






私は少女漫画に出てくるような悪役になるよ。



悪役がいるから二人の絆は深まるものでしょ？






貴「一也にもう近づかないでくれない？」


松「でもそれは…」


貴「どうせ一也に興味ないんでしょ？」


松「そうですけど…」


貴「じゃあ、もう一也に近づかないでね」






私はそう言ったとき丁度、香菜ちゃんの脚の手当が終わったので



私は保健室から一人、出た。









さぁ、私は一也のために悪役を演じよう…

▽.１９→←▽.１７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す