悪役なりの精一杯の恋だから【ダイヤのＡ】

▽.１５ ページ16

◇貴方side◇






私は倉持と屋上のフェンスの近くで、二人並んで座りご飯を食べている。



倉持は購買のパン、私は自分で作った弁当。






倉「なぁ、それってお前の手作りか？」


貴「そうだけど」


倉「へー、美味そうだな」






倉持は、私の弁当を物珍しそうに見る。



購買のパンを食べているってことは、普段から弁当をあまり食べないのだろう。






…ちょっとくらいならいいよね？







貴「好きなおかず食べていいよ」


倉「いいのか！？」






急に顔がぱぁっと明るくなる倉持。






貴「うん、お礼」


倉「お礼？俺何かしたか？」


貴「気使ってくれたんでしょ？

一也が他の女の子と遊ぶから」






多分、



今頃香菜ちゃんと楽しくご飯を食べているんだろう。






倉「ちげーよ。

俺が池野と飯を食いたかっただけだ」


貴「そう」






本当に倉持っていい奴。



普通の子なら一也より倉持を選ぶんだろうな。






貴「ま、好きなの食べなよ」


倉「サンキュー！」






倉持は私の弁当からハンバーグを取って、食べた。






倉「美味い！」


貴「ありがとね」






すごい満面の笑みで食べてくれるので、



なんだか私も嬉しくなってしまった。






倉「池野って何でも出来るよな。勉強も運動も、あと料理も」


貴「…そうでもないよ。ただ、親が厳しいだけ」






そんなとき、



はっはっはっと人を馬鹿にする笑い声が聞こえた。






この声は一也…？






不思議に思い、フェンスの隙間から中庭を見てみる。



そこには、






楽しそうにしている一也と香菜ちゃんがいた。







倉「どうかしたか？」


貴「何でもない」






私は弁当のおかずの玉子焼きを箸で持ち、食べた。






貴「しょっぱい…」








塩、入れすぎたかも。

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