忍と天女と物の怪 ~3~【忍たま】

天女ちゃんのハーレム大作戦（9） ページ3

、



走りまくった。
ここはどこでしょう。

この学園、地味に広いです。



「あの夕暮れの日、俺は〜は〜ららら〜
君と〜！出会ったんだ〜、らららら〜」



あの歌が聞こえてきた。
なんとなく地面に伏せる。

食満さんや尾浜さんが歌っていた歌と若干リズムが違うけどそんなのはどうでもいい。



「貴方はただのキープだから勘違いしないでね、めんどくさいから。本命は伊作くんだから。

でも、邪魔なやつを消してくれるなら、相手してあげる！」



さっきの歌詞になにやら不穏な歌詞が追加されている。
頭上から聞こえてくる歌声につられて、上を見上げると、木の枝に腰かけた女の人が歌うのをやめて微笑んだ。



「やっほ〜。今回の天女はアンタ？」




へー、ふーん、なるほどねぇ。

私をジロジロ見ながら木から降りてくる。

でもこの女の人から感じるのは、人間のオーラじゃなくて。



『死んでるん、ですよね』



こんなにまともに会話ができる幽霊なんて初めてみた。
というかこの歌を普及したのはこの人なんじゃないでしょうか。



「死んでるよ。
ねえ、ちやほやされて気持ちよかった？」



私よりいくらか背が高い幽霊は、私を見下ろすようにして問いかける。

ーーー楽しかったでしょう？


楽しかった？何が？




『もしかしてこの歌のこといってるんですか？』


「違う。」



盛大なため息が聞こえた。
大きな目がみるみる呆れたように細まっていく。

がしがし頭をかきながら、私をじっとみた。



「でも、面白いよね。アンタは仲良くなったつもりでもこんな簡単に崩れちゃうんだから」



ーーー勿論、私の力でね。

クスクス可笑しそうに笑った。
そんなことより。



『指、血で真っ赤ですけど、大丈夫ですか…？』

「ネイルだよボケが」



怒られた…
私が何も言えないでいると、向こうの方から声が聞こえてくる。言い争っているような声だ。



この声は、潮江さんと、立花さんの声。




「何かあったみたいじゃん。見に行ってみれば？」




幽霊はまた楽しそうに笑った。

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