忍と天女と物の怪 ~3~【忍たま】

呼び方 ページ20

。



滝夜叉丸さんはまず、黒板に「忍術学園」と書きました。

確か、潮江さんから教えてもらったような…私は記憶力があまりよくないので忘れてしまいましたが…


「まず基本からだな。忍術学園は何をするところでしょーか！」


滝夜叉丸さんがすごく楽しそうに見えます。
これはきっと言葉の通り…忍術を学習するところ！で間違い無いでしょう！

ーーーよし！！
口を開こうとしたら、唇に何かが当たり開けません。

綾部さんの人差し指。


「学校では手を上げて発言しましょーね〜」


声にやる気はありませんがなんだかんだ綾部さんもノリノリなようで。

きちんと手を上げて、名前を呼ばれてから発言します。


『忍術を学習するところです！』

「正解だ…では、わたしの名前を呼んでみてくれ」



これは…平滝夜叉丸さんと呼ばずに滝夜叉丸さんと名前で呼ぶかどうかのテストですね！

1問正解してパワーアップした私は騙されませんよ！



『滝夜叉丸さん！』

「はい残念不正解だ！」


なんですと…不正解なのに嬉しそうなのはどうして…

「先生らしいことしたいんだよ。滝夜叉丸は人に教えるのすきだから」


なるほど…

何を間違えたのかと考えたけどわかりません。
ギブアップです。

ギブアップと伝えたら滝夜叉丸さんはさらに嬉しそうにして、黒板にこう書きました。「先輩」。



…「先輩」？



「みたところAは私よりも年下だろう？
ここでは自分より上の学年の人は先輩呼びをするのが基本だ」

「そーそー」


綾部さんが滝夜叉丸さんの言葉にうんうんと頷きます。


『えっと、じゃあ…滝夜叉丸先輩に、綾部先輩…？』


それじゃあ私が今まで伊作さんたちをさん付けで呼んでいたのは間違いだったのですね！

伊作先輩、が正しかったのか！

いやでも私は、ほんとは忍術学園の生徒じゃないのでまちがっていないのかも…。

いやいや、でも！
ここで6年生の皆さんに「先輩」をつけて呼んだら！


。
「先輩呼びを覚えるなんてAはすごい！」
「天才！」
「むしろAが先輩！」
「ばんざーい！！」
。

となるに違いありませんね！
褒められるとにこにこしてしまいます！


「おーい、聞いてるー？」


目の前のひらひら動く手をみる。
ぼぅっとしてました、と言って誤魔化します。


「ありがとうございました先輩！」

「困った時は私たちを頼るといい。今は仲が険悪な学年も...ぐぇぇ」


滝夜叉丸さんは突然綾部さんに頭突きをくらいうずくまってしまいます。

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