忍と天女と物の怪 ~3~【忍たま】

天女ちゃんのハーレム大作戦（8） ページ2

、



「ああ、…俺の天女様…」



私にすりよりながら出した声は、ご主人様に甘える子犬のように、嬉しそうだった。

これも何かの作戦かと思ったけど、違うらしい。
悪霊の仕業に違いない。



「どうして、俺を捨てるんですか…
言われた通り、一年生は近寄らないようにしましたよ、てんにょさま…」


『近くて気持ち悪いです…ちょっとだけ離れてください』


「なんてつれないお方…」



話が通じない。
むしろ私を抱きしめる力はどんどん強くなっていく。このままいくと、私潰れます。絶対潰れます。



「下級生を全部追っ払えば、俺のものになってくださいますか？」



ジタバタを続けていると、残念そうに私を離してくれたので急いで尾浜さんから距離を取る。

尾浜さんはその場から動くことなく、じっと私をみてきた。



『よくわからないけど貴方のものにはならないです…』


「天女様…どうしたら、俺のものになってくださいますか？」



もうよくわからないのでここはきっぱり断って、それからじっくり話をして悪霊をあぶり出したいと思います。


「…仕方ないか」



はあ、とため息をつく尾浜さん。
よかった、諦めてくれたと思ったのもつかの間。



「ギターないんでアカペラで歌います。

「君の瞳に一発ノックアウト〜1億年の時を超えて〜」」




次の瞬間私は全速力で駆け出した。



次はお前か！！！！と叫びたい気分だった。

なんなんですかその「君の瞳に一発ノックアウト」って！なんでみんな同じ曲歌うんですか！

っていうか100億年から一億年の時超えてるし！
時超えすぎです！

もしかしてアレですか？私だけが知らない名曲だったりします？


「君の瞳に一発ノックアウト 歌ってみた」とか
「君の瞳に一発ノックアウト 踊ってみた」とか

どっかのサイトに投稿されてたりするんですか！




後ろの方から、



「あの夕暮れの日、俺〜は〜ららら君と出会ったんだ〜
らららら。
おてんばで無邪気な君は俺を見つめてこう言ったんだ〜」




という歌詞が聞こえてきたので、




「『貴方はただのキープだから勘違いしないでね、めんどくさいから。本命は伊作くんだから』


ああ、素直になれないんだね、無邪気な天女様〜


あ〜らららららんらんらんらんでぶ〜

君は何故か伊作とランデブー俺はキープ〜」



が耳に入るより前に私はさらにスピードを上げた。

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