【銀魂】局長の妹は__________なり

90 ページ26

貴方side


「私が貴方に見て貰いたかったものです」





私が指さした先に彼は目をやった





地球の反対側に沈んで行こうとする夕日

目の前にある川が反射によってもう一つのそれを作り出し、目を逸らしたくなる程ｷﾗｷﾗ光っている



眩しいオレンジに目がくらむ


しかし、それ以上にその光景を見続けたいと感じる





この大きな夕日が沈み切るまで5分あるかないか。

これは1日の中でも一瞬しか見れない物なのだ









そして_____私が江戸で1番好きな景色






仕事に行く前にこれを見て頑張ろうと思えていた

いつか自分に好きな人が出来たら、
一緒に芝生に腰を下ろしてその夕日が落ちて行くのを
最後まで見ていたいと思っていた








「これを、俺に...？」




「うん」と1度頷くと彼は再び夕日に目を向けた

それに続いて、私も其方を見る






「...綺麗でしょ」




"夕日が綺麗ですね"というフレーズを用いたつもり

自らの好意を相手に伝える上に
"貴方の気持ちが知りたいです"と遠回しに言う物




___彼は気づいているだろうか。









「嗚呼、綺麗だ」




そう言った十四郎さんを見る

すぐに目が合った。
私のことを見てたんじゃないか、って自惚れる程に

















「これだと、月も綺麗なんだろうな」




オレンジ色の光が入った切れ長の蒼い目

口角が上がった優しい顔で、彼はそう言った





















.


補足)

"夕日が綺麗ですね"の返しとして
"月も綺麗でしょうね"と言うのがポピュラーなのだそうです。

91→←89

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す