【そらる】雨隠レンボ(雨垂れと初恋)/琉唯 ページ24
「えっと…一ノ…そらる!そらるって呼んで。」
「わかった。そらるくん!宜しく。私は、A。好きなように呼んで。」
「じゃあAって呼び捨てでもいい?」
「いいよ!ここで会えたも何かの縁!仲良くしよ!雨が止むまで。」
それから俺らは様々な事を話した。
学校の事、家の事、趣味の事。
話してみると結構気があう。
俺は学校が嫌いだが、Aは家が嫌いな様だ。
別に、虐待とかにあってる訳ではなく、仲は円満だそう。
しかし、両親共々仕事に出ている事が多いらしくて家に帰ると大抵一人で孤独を感じて嫌いなんだそうだ。
しかも、歌う事が好きな点も一緒だった。
彼女は作詞もしている様だった。
歌詞を書いたノートを持って居なかった為見る事は出来なかったが。
雨が止まなきゃいいのにって思った。
でも、時間は無情だった。
雨は止み、太陽が微笑んでいる。
今はその笑顔が憎らしい。
あれ?
俺、初対面なのに…。
どうしてこんなにドキドキするんだ?
落ち着かないんだろう?その笑顔が頭から離れないんだ?
もしかして…これは恋か?
「あ、止んだね。そらるくん。今日は私なんかの相手してくれてありがとう。家にいるよりずっと楽しかった。」
「俺も。学校にいるより百倍楽しかった。」
「分かり合える人がいると思わなくて…作詞とかを楽しい、って思う子があんまり居なくて、ね。じゃあ、また…。」
いやだ。この気持ちは不明だがAともっと話がしたい。
知りたい。
その時、救いの手が伸ばされた。
「あの…また会わない?ほら、歌の事とか歌詞も見せたいし。ダメ…かな?」
「良いよ。」
「良かった!じゃあ次の雨の時に!バイバイ!」
そして彼女は去って行った。
俺も家に向かい歩き始める。
帰り道、どうしても彼女の「バイバイ」の顔が頭から離れない。
出会って初日でこんな気持ちを人に持つなんて初めてだ。
これが学校の奴らが居る、好きっていう気持ちか…。
後に俺は彼女と会うこの時間に名前をつけた。
誰にも見つからない、嫌いな物からの雨の時限りの雲隠れ。
『雨隠れ』と。
そしてその時間を楽しみにして登校する様になった。
雨が降ってても、そこまで嫌な気分にもならなかった。
これが人生初の恋の始まりだった。
それから、雨が降れば一目散に学校を出て、バス停に行った。
あのバス停はもう誰も使わないから誰も来ない。
公園の裏だから人には見つかりにくい、いわば世界からの死角の様な所だ。
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)
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