もしも、あなたと(FB) ページ20
※もしも雪男と付き合っていたら？
「えっふびーーー！」
ぼすん
何やらパソコンで作業中のFBの背中に、ぴたりと張り付く。
「んんー、ひゃっこい！」
うりうりと頭を撫で回すと、「んん」とだけ言ってノーリアクションのFB。
「もっとぎゅっとしようよー！」
「んー、あとで」
「あとであとで、って、いっつもはぐらかす！今日は諦めないもんね！意地でも離れないもんね！」
ーーーーー
彼女はそう言って、身体をぴたりとくっつけたままパソコン画面を一緒に眺める。
動画の編集中だから、見てて面白いのかはわからないけれど、それよりも密着した身体が気になる。
冷たくはないだろうか。
身体が冷えたりしないだろうか。
Aの指が、頬が、腕が、霜焼けになったりしないだろうか。
風邪をひかないだろうか。
そんな俺の心配をよそに、「あはは、きっくんウケるねこれ！」と楽しそうに笑う。
Aが望むままに、身体を寄せられたらどれだけ良かっただろう。Aは、不満なのではないだろうか。
「ん？どしたのFB。なんかますます冷たくなってる。」
顔を覗き込んで、頬を撫でるAの細い指。
この指を傷付けたくなくて、でも触れていたくて。
大好きだから触れたい気持ちと、大好きだからこそ触れてはいけないという気持ちで、付き合い始めてから悩み続けた思考は、ついに止まってしまう。
「こっちおいで、A」
体の向きを変えて正面から抱き締めてみる。
「うわ、FBどしたの、何かあったの？」
戸惑いながらも腕を回して抱き締め返してくれるA。
「...冷たくない？」
「うーん、ちょっと冷たいかな。やっぱ雪男だね〜。」
それでも離れることなく、俺の顔を見たAは「てか、FB何そのひどい顔、なんで泣きそうなのさ」と困ったように笑った。
「俺、体冷たいし、暑いとこ苦手だし、テンパると色々凍らせちゃうし、こんなんで...いいのかなって...」
「あぁ〜、そゆことか」
Aは体を離すと、今度は手を繋いで指を絡めた。
心臓が煩いくらいドキドキして、指先が冷えていくのが分かる。
きっと痛いくらい冷たいに違いない、咄嗟に離そうとしても、がっちり絡んだ指は離れない。
「いいんだよ、FB、大丈夫。...狐は、寒い方が好きなの。」
太陽みたいに笑う彼女に、凍った指先も溶けていくような気がした。
＞＞＞＞
申し訳程度の妖狐！
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作者名：名無しの夢女子 | 作成日時：2019年1月8日 22時
