約束 ページ29
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初代の作戦を放棄してまで向かいたかった場所。
そこは私が想像していた以上の惨状と化していた。
足元が血に塗れたエルザと、腹部から出血しているマーメイドのうさ耳と傷だらけの背中で意識不明のネコ娘。
純粋な戦いだけでここまで酷くなるとは思えない。
恐らく全ての元凶は、私の目の前にいる無傷の
「ほぉ。一度に二匹の妖精の頭をもげるとは……今宵のご馳走が豪華になりそうだ」
「これ、私が貰っていいんだよね」
3人を隠すように前に出て、目の前を指さし尋ねる。
「だがっ、」
「そちらのお二人さん、そのままにしてたら重症化するよ。特にうさ耳。その出血だと多分どっかの内臓損傷してる」
羽織っていたアウターをエルザに脱ぎ捨てた。
改めて向き直ると、ミネルバがニヒルな笑みを浮かべる。
「随分と舐められたものだ」
「いつか交わした……“公平な戦い”しよっか」
指先をクイッ、と横に動かせば突き出た地面が彼女を横へと吹き飛ばす。
その瞬間。
ドドドドッ！！！
突如、何の片鱗もなく辺り一帯が爆発し始めた。
それも中々の威力。
咄嗟に重症の3人を庇ったが、これ以上ここで戦うと3人まで巻き込みそう。
「私も、加勢しよう……」
今にも倒れそうなエルザがフラフラになりながら立ち上がろうとする。
「もーお願いだからジッとしててよね。怒るよ」
この子の頑固さには本当に呆れる。
エルザの額を指で弾けば、よろめき座り込んだ。
「ほら。無理、足でまとい。大人しくしてなさい」
エルザの返事を聞かぬまま、遠くに飛ばしたミネルバの元へと向かう。
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作者名：梅水晶 | 作成日時：2022年12月31日 16時
