ドラゴン ページ24
「おい、ちょっといいか」
4日目全ての競技が終わり、食事処を探そうとラクサスと共に宿舎から足を踏み出した時、どこからともなく現れたガジルに呼び止められた。
「ガジル。貴方、競技ほっぽって今までどこ行ってたのよ」
ガジルは双竜との試合中、ナツにトロッコに乗せられ追放された後行方不明になっていた。レビィを含めたギルドの何人かが探し回ってたけど私はそれを横目にそそくさと宿舎に帰った。
「色々あったんだよ」
「そう。それで話って？」
空腹で詮索する気も起きなかった私は腕を組んでガジルを見た。彼はバツが悪そうにラクサスを一瞥すると、口を歪めた。
「俺が邪魔か？」
それを悟ったのかラクサスはそう聞き返す。
「邪魔っつー程でもないが…まあいいか」
腹を括ったように硬い口を開いたガジル。
「まあ信じられねェ話かもしれねェが……さっきの話の続きだ。俺がサラマンダーにトロッコに乗せられた後、俺はドラゴンの墓場らしきとこに辿り着いた。骨の形や大きさ的にあれは間違いはねェ」
ドラゴンの墓場。
無意識に体が反応した。
「それで今からサラマンダー達を連れてもう一度確認しに行くんだが、お前もどうかと思って一応聞きに来た。お前のドラゴンも確か14年前に……」
「ご報告どうもありがとう。でもドラゴンに興味は無いから大丈夫よ」
彼の話を遮るようにそう答えた。
14年前。ナツやウェンディ、ガジル達と同じように私もドラゴンに育てられた。
それはそれは不器用ながらにも愛情深く。
そう思っていたのは私だけだったみたいだけど。
「でも。お前……」
「ドラゴンに未練はない。ただそれだけ。何か手掛りか見つかるといいわね」
不服そうなガジルの肩をポンっと叩き、私はラクサスの腕を引っ張った。
「本当にいいのか」
「知ってるでしょう。私がドラゴン嫌いなこと」
「……そうだな」
そっぽを向いて話す私の頭をラクサスはゆっくり撫でた。
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作者名：梅水晶 | 作成日時：2022年12月31日 16時
