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泣き寝入り(ラクサスside) ページ17

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「…ったく」



俺の頭に手を置いたまま心地良さそうに寝息を立てている女の腰に手を回す。

一見華奢に見えるが、しっかり筋肉はついている。
体のラインをなぞるように指を滑らせる。



「ん、」



少し不満そうに吐き出した短い声。

滑らせていた指を止めて腰に添える。



コイツは酔うと人が変わる。


シラフなのか、酔った振りをしているのかは知らねェが一度こうなると酔いが覚めるまで簡単に丸め込めるから、悪い気はしねェ。




『闇を知ることになる』




クソ親父の言葉が頭を過った。




「闇……」




ポツリと呟くと、Aが頭を胸元に押し付けてきた。

鬱陶しそうに顔にかかる髪の毛を払い除けると、端正に整った顔が心地良さそうに緩む。



「……お前はどう思う」



完全に寝入ったAから返事が返ってくるはずもない。



「いや……やっぱお前は、知らなくていい……忘れろ」




全部忘れろ。


今の言葉も、今日の出来事も、俺のクソ親父の顔も、失態ばかりを見せた俺の幻も。






お前には何も背負わせねェ。







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作者名:梅水晶 | 作成日時:2022年12月31日 16時

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