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慰め ページ16
チッ
小さく舌打ちしたラクサスに顎を掴まれ、無理やり視線を合わせられる。
意味もなく睨みつけるが酔いの回った虚ろな目にラクサスが怯む訳もなく、私は呆気なく彼の太腿の付け根に乗せられ逞しい腕に閉じ込められる。
「……そんな、気分…じゃない」
身を捩り脱出を試みるも、力の入らない体じゃ無力に等しかった。
顔にかかった髪をラクサスが払い除ける。
傷だらけの手。
彼はこの手で実の父親と決別する道を選んだ。
親のいない私が彼の感情を理解してあげる事はできない。
「……貴方のパパ…なんて？」
「バカ息子だとよ。バカはバカからしか生まれねェのに笑える話だ」
「…バカでも、男前だから……いいじゃない」
「慰めてんのか？」
ラクサスは口角を上げ煽るような笑みを浮かべる。
「ん……頑張った、ね…」
彼の髪に指を滑らせ、綺麗な金色に染まった頭を撫でる。
「……禿げるのだけは…やめてね」
意識が沈んでいく。
彼の髪を撫でたまま静かに意識を手放した。
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作者名：梅水晶 | 作成日時：2022年12月31日 16時
