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似て非なる ページ13
「一体、誰の血を受け継いたんだか……」
低い声が薄暗い廊下に響く。
ラクサスの父であり、マスターの息子でもあるイワン･ドレアー。
心優しいマスターとは裏腹に性根が腐った男。
マスターと似ている部分なんて、髪の毛の後退具合くらい。
「審判に試合中断を要請するか？」
「いや、大丈夫」
「だけどお前、ラクサスが――…」
「ラクサスが心配？」
「は、別にそんなんじゃねェよ！」
頬を赤らめ、そっぽを向くガジル。
本当に素直じゃないなぁ。
私は口角を上げて笑う。
一度ギルドを破門になった男だと言うのに……
周りからの信頼は未だに地に落ちてはいなかった。
彼の背中を力強く叩く。
「今はラクサスに任せよう。仮に負けたとしても、私が慰めてあげるから大丈夫よ」
「そういう問題かよ」
「ここだけの話、精神的に弱ってる時のラクサスって可愛いのよ。ベッドの上で――…」
「誰もンな話聞きたかねェよ！！」
咄嗟に両手で耳を塞ぎ、まるで茹でダコのようにみるみるうちに赤く染まっていく頬。
やっぱり、ウブな人達の反応はいつ見ても面白い。
「ガジルはまだまだお子様ね」
そう言えば、ガジルは頬を赤らめたまま不貞腐れるようにブツブツと小言を言いながら応援席へと戻って行った。
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作者名：梅水晶 | 作成日時：2022年12月31日 16時
