二日目の夜 ページ2
大魔闘演武二日目の夜。
大会が始まってから二日間ギルド席から高みの見物を決め込んでいた私に悲報が届いた――…
.
「A」
ギルドの輪から外れ一人フラフラと大会会場から宿に戻る帰路の途中で、聞き覚えのある声に引き止められた。
振り返るとそこにはミストガン……に扮したジェラールの姿があった。
「ミストガン……」
本物のミストガンと瓜二つの彼にどんな顔をすればいいのか困る。
ジェラールに関して私は極わずかな情報しか持っていない。
元・聖十大魔道の一人であり、今は評議員のお尋ね者であること。
ナツやエルザ達と親しいようだから、超極悪人って訳では無さそうだけれど。
「私に何か用?」
「少し君と話がしたいんだが、時間いいか」
「どうぞ」
私がそう言えば彼の目元がバツが悪そうに歪んだ。
「ここじゃ、話しにくい?」
「あぁ、まあ」
.
『ついてきてくれ』と頼まれ辿り着いたのは、月明かりが頼りの薄暗い路地裏。
「それで、私に話って?」
建物の壁に背を預ける。
ジェラールは私に向き直り、消え入りそうなほど小さな声で
「明日からの大会、俺の代理を君に頼みたい」
申し訳なさそうに頭を下げた。
私は分かりやすく険しい顔を見せる。
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作者名:梅水晶 | 作成日時:2022年12月31日 16時