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第30夜 奇跡 ページ9

────君の鎖は、もう取れたはずだよ、モルジアナ。


 誰!?




 うそ、あるわよ。
 手に、足に頑丈な枷が。
 全然外れないよ。


 あの頃と同じだよ。逃げたくても絶対、逃げられないんだ。


 ジャミルに鞭を振るわれる光景がフラッシュバックする。



『そう、それこそが君を捕らえているもの。過去の恐怖。
 君はもう、昔とは違うじゃないか。成長した、主人は死んだ、奴 隷身分からも解放された。
 ────ほら、君を本当に縛っていたものはもう何一つないんだ!』











 一段と高いナージャの悲鳴が上がり、その声でモルジアナは我に帰る。



『鎖も足枷もないのと同じ。そんなものは、君にはなんの問題もないはずだろう?』



 自分を鼓舞するように、鼓動が速くなる。音が大きくなる。


「見なさいファナリス。奴 隷がどういうものなのかを」

 ファティマーはどこか悲しげな顔をして、モルジアナのいる方向を見やる。だが、彼女の姿はもうそこにはない。視線を上に動かす。
 モルジアナが飛んでいた。脚力だけで華麗に宙返りをし、檻の中へ着地した。
 そこに集まっていた男達は皆揃って口を開け、それを見ている。


『そう。君を縛れるものなど、
 ────この世に何一つ、ない!!』


 ナージャの元へ着地したモルジアナを見て、ようやく男共はどよめき出す。慌てふためくが何かできるわけでもなかった。ファティマーは舌打ちして鎖を振るう。

「何もできない状況に変わりはないわ、大人しくしなさい!」

 砂漠ハイエナがモルジアナ目がけ駆ける。だがモルジアナは落ち着いて、胸一杯に空気を吸い込んだ。

 ────咆哮。
 モルジアナのそれは、獣の咆哮そのものだった。大気は震え、砂漠ハイエナどもは本能で危険と感じたのかすぐに距離を取る。
 枷がついたままの足で地面を蹴って、鉄格子のある所へとジャンプして向かう。ジャンプの勢いで、後ろ手に鉄格子を掴んだ。
 ガツン、ガツンガツンガツンと繰り返し音が響く。地面と接している付近の檻に、足枷を叩き付ける。いや、正確には足枷ではなく足枷の『錠』を的確に打ち付けていた。
 何度も何度も何度も足首から血が足れる程打ち付けて、錠は音を立てて亀裂を走らせる。やがてボキン、と大きな音がして錠が割れると、モルジアナの足からは綺麗に枷が取れていた。

「……外せたわ」

〃→←〃



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名無しさん(プロフ) - 、さん» 失礼しました。先程外しました。3の時も指摘して頂いたのに、大変申し訳ありません。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - MIZORE@厨二の魂百までさん» ありがとうございます!しばらくは原作をなぞるだけになりますがよろしくお願いします。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編も4まできてオリジナルフラグ外し忘れはないんじゃないですか? (2018年2月17日 17時) (レス) id: 5c20bbbbb1 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE@厨二の魂百まで(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください^^ (2018年2月17日 17時) (レス) id: d47704566c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無しさん | 作成日時:2018年2月17日 17時

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