第95夜 弱虫 ページ27
『白龍、白龍』
辺り一面は炎に包まれている。あつい。暑い。熱い。
でも、熱いなんて感じる余裕はなかった。
『使命を果たせ、戦い抜くと誓え！お前がやるんだ』
お前がやるんだ、お前がやるんだ。
お前が、お前が、お前が！！
＊＊
『白龍、白龍……
しっかりなさい！あなたがちゃんとしなくてはだめなの。
でも姉さん、あなたが心配だわ。だって本当に、あなたは……』
◇
「白龍！！」
ビク、と体を揺らして白龍は目が覚めた。
その周りには食料や水、血の付いた布が散らばっている。
「大丈夫か！？うなされてたぞ」
「おはよ、白龍」
アリババは心配そうに顔を覗き込んだ。他にも心配そうに白龍を見る皆とは一方的に琥珀は落ち着き払っている。
驚いたように辺りを見回す白龍に、アラジンは声をかけた。
「もう、二本道の試練は抜けたところだよ。おにいさんはモルさんが運んでくれて、琥珀さんが治療してくれていたんだ」
目覚めたばかりの白龍は俯く。薄い毛布を握る手に力が入った。
おそらく貧血で頭がうまく回らないだとか、体が重いだとか、そんなことよりも────自分はまた助けられた、という事実に打ちのめされていた。
よろつきながら立ち上がる白龍を、アリババは心配そうに見つめる。
「大丈夫かよ、白龍の奴……」
◇
「『迷宮』も、だいぶ進みましたね」
「そうだなあ」
モルジアナと琥珀の声、それと靴音だけが階段の踊り場に響く。あまり話せるような空気でもない。このまま真っすぐ宝物庫を目指そうかと全員がただ足を動かしていた矢先、
「おーい！君たちぃ！」
ザガンのけたたましい声が響いた。それと同時に、モニターに映るようにザガンの顔が空中に現れる。
「やあ、ザガンだよ！君たち絶好調だね〜！
あの二本道をクリアできるなんてね、いや〜強くって感心しちゃったよぉ！」
何が可笑しいのだろうか、ザガンはずっと笑っている。一々反応するのも面倒になってきたのかアラジン達は一言も喋らない。
「でも、一人だけ仲間はずれがいるよね〜。超頼りなくて足引っ張ってる奴。
だ・れ・か・な、だ・れ・か・な〜〜？
────オイ、聞こえないフリするなよ。
お前だよ、顔に傷のお、ま、え！」
白龍は肩を一瞬震わせた。
「君、さっきから助けられてばっかだね〜？みんなもほんと、迷惑してるよ〜！君に彼らの仲間の資格なんてあるのかな〜？」
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名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» いつもありがとうございます！！ザガンの中では目立ったことはしないかもしれないんですけどザガン出た直後(だいぶ先)に何かしら一悶着ありそうです (2018年9月17日 21時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - 続編おめでとうございます！ザガン編での琥珀姉さんとなぎさちゃんの活躍を期待しておりまする...！ (2018年9月17日 17時) (レス) id: 423ba97ef6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 琥珀ちゃんと何方かの恋模様なども見てみたいですし、原作を壊したくないのは分かりますが、琥珀ちゃんを出してくださいお願いしますあのこ大好きなんです。大分長々しい文章になってしまいました。図々しくてすみません。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月16日 18時) (レス) id: d5d94731ec (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 琥珀ちゃんが出てきたときはいつも感情が昂って、すごく楽しく読ませて頂いてます。私はマギを読んだので同じ場面を読んでもあまり面白みはないのですが……少しくらいオリジナルテイストが入ってもいいんじゃないでしょうか。 (2018年9月16日 18時) (レス) id: d5d94731ec (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - はじめまして。一週間ほど前から一気に読ませていただきました。すごく面白くて想像しやすい文章で、もっと伸びていい作品なんじゃないかと思います。ただ、少し残念なのは琥珀ちゃんの文章が少ないこと。 (2018年9月16日 18時) (レス) id: d5d94731ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2018年9月15日 22時
