転生したら幼児でした。

5話 ページ6

「…っ！？生意気な口叩いて！養ってやってるのにこの恩知らず！」

「養ってもらってたらその人からの暴力暴言は苦しいって感じないの？辛いって感じないの？そんなわけ無いでしょうが。」

とってもとっても、辛いんだから。



母親は急にケータイを置いて私の近くに歩いてきた。そして殴ろうとする。けれど当たらなかった。理由は単純。私が避けたから。

避けられた事に母親は苛立ちを感じているのか歯ぎしりをしながらまた殴りかかってくる。しかし私はまた避けた。母親は溜まっていたものを吐き出すみたいに殴りかかりながらヒステリックに叫びだした。

「仕事も人間関係も凄く大変で！！ストレス溜まってんだ。お父さんは出て行っちゃったよ！母親だけでお前を養ってやるのがどれだけ大変かわかるか！？いっつもストレス溜まってるのに、お前はニコニコ遊んでばっかりで！こっちの苦労もしらないで…！せめてストレス発散くらいさせろよ！」

私は悲しい顔をした。それが更に腹立たしかったのか母親は更に強く歯ぎしりした。

「じゃあさ、私が出て行くから。」

母親を苦しめる原因が私なんだとしたら、家にいたら私も母親も苦しむしでなんとなくどちらにも利がない気がする。でも、私が出ていけばこの人を苦しめる原因が無くなる。名案ではないか。

そう言って殴られるのから逃げるように私は玄関へと走っていく。後ろから母親の怒声が聞こえるが、知ったこった無い。私が出ていくだけであなたを苦しめる原因は無くなります。私も苦しまなくなります。win-winですよ？

私は玄関で靴を履いて家を飛び出して行った。

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