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虎杖｢えﾞっ｣
宿儺｢本当に泣き虫だな。愛しい妹よ。｣
葵夜｢うっ…うぅ〜っ、兄様ぁ…ぐすっ…｣
万遍の笑みで牛骨から降りてきた兄の胸に、走って飛び込む葵夜。
懐かしいその実情に宿儺は満足し、
見たことも無いその態度に虎杖は顎を外し放心した。
虎杖｢(葵夜ってアイツの前だとこんななの？！)｣
葵夜｢葵夜は悲しいです！ようやく現世で兄様に再会する事ができたのに…｣
宿儺｢再会も何も、この生得領域では永久に俺と一緒なのだぞ。葵夜はここが嫌か？｣
定位置かのように葵夜を抱き上げ自分の腕に乗せる。
そして余すことなく葵夜の身体を舐め回すように見つめた。
葵夜｢ここじゃ兄様が復活した時、葵夜1人になっちゃうよ…。また独りぼっちはやだ…。｣
宿儺｢！…ケヒッ、全く我が妹は手のかかる。…仕方ない、許そう。その代わり俺の許可なく小僧から離れるではないぞ。｣
葵夜｢っ！兄様ありがとう！！｣
虎杖｢っおい葵夜！！｣
泣き止んだのかいつの間にか涙は止まっており、嬉しそうに頬を染め兄の頭に抱きつく。
兄の死角に顔が来た時、先程までの稚拙さは微塵も感じさせない表情で虎杖と目を合わせ、
口元に人差し指を持ってきた。
虎杖｢(…“口出しはするな”……全部計算通りって訳か)｣
もう一度強く兄を抱きしめる。
ゆっくりと起き上がり不安そうな表情でもじもじと話し始めた。
葵夜｢…兄様、生前から葵夜と一緒になりたかったの…？｣
宿儺｢当然だろう。葵夜は俺のたった一人の家族だからな、何かあればと思うと心配だ。｣
｢｢(…心臓取る理由としては若干弱ぇよ)｣｣
極当然のように恥ずかしがる事もなく言い放つ宿儺に違和感を覚えながら心の中で突っ込む。
特に宿儺の死角部分にいる虎杖はその感情を表情にまで出した。
葵夜｢兄様は過保護過ぎるのです。葵夜はもう大人なのですよ？｣
宿儺｢ほう。俺の目にはまだ一人で着替える事もできぬ稚児に見えるがな。｣
葵夜｢いやそれ何年前の記憶っ｣
もうっ、兄様ったら！
大昔の話を掘り返され気恥しくなりながらそろそろ腕から降りようと身を捩る。
すると逃げるように肩を押したのが気に食わなかったのか、次の瞬間両腕が切り落とされた。
葵夜｢うは、兄様容赦無い…｣
虎杖｢っ葵夜！！｣
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作者名：佐藤ななな | 作成日時：2021年9月14日 13時
