宝石の中に紛れた石ころを見つけて第2幕。「あんスタ」

第75話　笑った ページ28

嗚呼まただ。
姉さんは自分を隠す時。いつも笑う。
いつも笑ってる姉さんはいつも自分を隠してる

朝から一番｡彼と話していた時は笑っていなかった。
それが本当の姉さんだからだろう。

僕は姉さんの方を向いて聞く

「それは、何に対する謝罪？」
「うーん…色々、かな」

たくさん。めいわくかけちゃったからね



めいわくってなに？
姉さんがいつ僕に僕達に迷惑をかけたの?
姉さんは迷惑をかけない
かけさせてくれない。

僕はそんなにも頼りない?

嫌な答えが頭の中を渦巻く。
どうして？

そんなものばかりが脳に浮かぶ｡

でもそんなことを言ったら余計に姉さんを苦しめるだけだと知ってる。

「迷惑、かけられてないヨ
姉さん、悩みを人に言わないからネ」
「…そっか、」



「姉さん、迷惑かけてヨ」
そう僕が言えば「ぇ？」と声を上げて
目を見開いて姉さんは僕の方を見た｡

「たくさんかけテ
今までかけてこなかった分。
これからたくさン。この先ずっと一緒にいるんだヨ？…もう姉さんガ壊れるところは見たくないヨ
だから」
　 僕のために迷惑かけて

　 僕達をたよって





「…ありがとう。」

そう言って姉さんはぐしゃりと涙を浮かべた瞳を閉じて笑った。






ﾊﾞｼｬﾝ

「へ？」

第76話　まってて→←第7４話　　苦笑い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す