snow white (inoo kei)

お妃さまのヒミツの小部屋 01 ページ6

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さてさて

こちらはおとなりにあるお妃さまの寝室です




「…ふぅ。」




部屋に入るなり
お妃さまはポイっと靴を脱ぎ捨てました




「爪先いたぁい！
もおっ、ハイヒールなんて嫌いだっ！」




王さまに比べてずいぶん小柄なお妃さまは
お二人が並んだときの見映えを考えて
かなりかかとの高い靴を履いています

脱ぎ捨てたその靴を蹴飛ばしたあと
胸元に手を入れたお妃さまは
金色の鍵を取り出しました



キョロキョロと辺りを見回し
部屋の奥へとこっそり進み…

そこにあったのは
分厚いカーテンで隠された
小さな秘密の扉です




「だーいきっ！ただいまー！」




扉の先には秘密の小部屋

それは大きな鏡と
いくつかのクッションしかない
狭くて暗い空間です




「おかえり、涼介。」




お妃さま以外誰もいないように見えるのに
小部屋の奥から声がしました




「今日もお疲れ様。
はやくこっちにおいでよ。」




その声は
壁に立て掛けてある鏡から聞こえていました





「足は痛いけど疲れてないよ。
今日は公式行事もなかったもん。」




ペタペタ裸足で歩いたあと
クッションを抱えて座ったお妃さまの前で
大きな鏡が徐々に明るくなっていきました





「それでも疲れたでしょ？
おてんばな涼介がおしとやかにしてるの
大変だもんねー？」


「大貴ってばまたからかって！
俺はもぉ大人なんだから
そんなことじゃ疲れたりしないよ！」




お妃さまを照らした鏡には
栗色の髪をした笑顔の青年が映っており
二人はとても親しげです




「そーお？僕の知ってる涼介は
まだまだ子供に見えちゃうんだけど。」


「そんなことないって！
そりゃ、大貴に比べたら子供だけどっ！」


「あは、それはそうだよ。
だって僕はもぉ千年も生きてるんだから。」


「知ってるよ！
でも俺だってもぉ大人なのっ！」




少しもレディらしくないお妃さまを
クスクス笑う青年は
鏡の中に住んでいる魔法使いです

見た目は若くとも長い年月を生きており
その上、素晴らしい瞳を持っていました


それは千里の先まで見渡せる
まさに魔法の瞳

この小部屋に居ながらにして
この青年は見たいもの全てを
その目で見ることができるのでした





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