snow white (inoo kei)

裏切られた信頼　 ページ32

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「圭人ッ…んっ、やめッ…」



襲いかかるような口付けは
お妃さまを恐怖におとしいれます



愛してるだって？

圭人が、俺を！？



幼い頃から
この青年は優しい笑顔で側にいました

大きくなるに従って
会うことも難しくなってしまった二人ですが
それでもお妃さまにとって
圭人は身近な存在でした




“けぇと？この子がオレのジュウシャなの？”


“さようでございます、姫さま。
これの命はあなたさまのものです”




お妃さまがお生まれになった国では
王族のひとりひとりに
特別な従者が一人つけられます

幼い頃から絆を結び
従者が敬愛を捧げ
主となる王族は信頼を寄せて
二人は生涯を共に過ごすのです




“けぇと、なかよくしてね”



おずおずと差し出した手を握り返したのは
まっすぐな目をした男の子でした




“涼介さま…”


“りょおすけでいーよ。
けぇとはオレのとくべつなんだから”





命を賭けて、自分を守ってくれるひと

絶対に裏切らない
信じていい相手


ご自身の父母も
『特別な従者』に
絶大な信頼を寄せていることを
小さな姫は知っていました




“けぇと、オレをまもってね”


“涼介…
はい、僕はあなたを守ります…”




交わされた約束は
今日までずっと続いていました


いつ、どこにいても感じていた
圭人からのあたたかい優しさ

自分を一番に思ってくれる
大好きな友達



心から信じていた
その、圭人が…！





「よせッ！はな……っ、離せぇッ！」




大輪の紅薔薇

美しすぎるその花弁が散るように
お妃さまのドレスがふわりと拡がり…



「今夜だけだ…
涼介、頼む…僕を愛して…」


「いや…っ、ヤだっ、やめろぉおおおッ！」




無理やり倒されたベッドの上で
お妃さまは絶望の叫びを上げたのでした





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