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多田野side
俺は稲城実業野球部に入ってまだ3週間足らずだ。
なのに、目をかけてくれる先輩がいる。
そしてピッチャーなのにキャッチャーの俺を指導してくれるし、ピッチングの相手にしてくれる。
3年生の先輩の球を受けられるなんて、1年からしてみればとんでもないことで…
未だに緊張がとれない。
入部した初日から名前で呼んでくれたし、自分のことも名前で呼ぶように言ってくれた。
すごくいい人で、ピッチングもすごい。
まだ未熟な俺だけど、今まで見た中でダントツで1番のピッチャーだと思う。
…でも、そんな俺の目はまだまだなのかもしれない。
稲実のエースは2年生の鳴さんだ。
もちろん、鳴さんも物凄いピッチャーだけど、正直Aさんの方が…
鳴さんの背番号が1番で、Aさんの背番号は11番だ。
…すごいピッチャーだけど、、
Aさんは練習をよくサボっている。
俺なんかが言えることじゃないけど、真面目に練習したらもっとすごいピッチャーになれると思う。
どうしてAさんは、練習をサボるのだろう…
さすがに聞けない…
「A、今日はノースローだ」
「え、じゃあ俺練習来た意味なくね?帰るわ」
「野球はピッチャーだけじゃねぇだろ。
今日はピッチャーもバッティング中心だ」
「はぁ?誰の意見なのそれ」
「監督だ」
Aさんでも監督は怖いらしく、仕方なく従った。
監督が怖いのに練習サボれるのか…←
「樹、今日ノースローだから明日よろしく」
「はい!」
ヘルメットをかぶってバットを持ち、バッティングの準備を完了したAさんが振り返って、どこか余裕そうに言った。
いつも、この余裕そうな顔をする。
少し微笑んで、身長のせいでもあるが上から見る。
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ふー(プロフ) - 蒼葉さん» とんでもないです!!読んでいただき本当にありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: 64d176cfc7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉(プロフ) - とてもよいお話でした!!!この作品を作って下さりありがとうございます!! (2019年2月14日 7時) (レス) id: c28d4f2a15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふー | 作成日時:2018年11月16日 22時