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原田side
うちの野球部はサボり癖のあるやつが多い。
「鳴。お前、こんなとこで何してんだ?」
放課後の練習中。
他の皆は練習しているというのに、こいつはトイレに行くと言ったきり帰ってこないので様子を見に来てみれば体育館の外壁を背もたれにして座っていた。
「ゲッ、雅さん…!」
俺を見れば顔を青ざめる。
「とっとと戻るぞ」
鳴の首根っこを掴んでグラウンドへ向かう。
グラウンドに着いた途端、鳴は誰かを探すようにグラウンドを見渡す。
「Aさんいないじゃん!!なんで俺だけ!?」
「いちいち文句つけるな。小せぇ野郎だな」
うちの野球部はサボり癖のあるやつが多い。
…否、投手陣には。
「A。こんなところで何してる?」
また、こいつは屋上で女子に囲まれていた。
「ゲッ、雅…」
こいつは青ざめると言うより、楽しそうな、まるで何か企んでいるように、口角を上げる。
「早く行くぞ」
「また明日ねー」
女子達に手を振り営業スマイルを振りまく。
こいつの場合は鳴のように首根っこを掴まずとも、しっかり後ろを着いてくるところは素直だ。
探しに来て見つけると、あっさり練習に戻ってくる。
それならもともとサボるなと何度も言ったが、結局3年になった今でも直らない。
仕方なく、毎日こんな事を繰り返している。
「もう鳴のことは見つけたの?」
呑気にそんな事を聞いてくる。
「あぁ。」
「そっかー」
俺の前では、こいつはいつも何かを企んでいるような顔をする。
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ふー(プロフ) - 蒼葉さん» とんでもないです!!読んでいただき本当にありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: 64d176cfc7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉(プロフ) - とてもよいお話でした!!!この作品を作って下さりありがとうございます!! (2019年2月14日 7時) (レス) id: c28d4f2a15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふー | 作成日時:2018年11月16日 22時