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◎ゆるくいこうよ- 5 ページ5

正直たじろいだけれど、水内はなんてことなしに、うんうん、それじゃあ行こっか、と言い、俺の腕を引いて居酒屋を飛び出した。
薄暗くなった商店街の街灯の下を、人混みをかき分けながらスキップして歩く。

水内は楽しそうにスカートをふわふわとなびかせながら、伊沢くんとデートだ、とくすくす笑う。

「伊沢くん、ほんとは私のこと、気味悪いって思ってるでしょ」
「……そんなことないよ」
「そうかな?」

水内はそれ以上は聞かず、くねくねと曲がる細い坂を器用にすり抜け歩く。

歩きながら俺たちは、楽な講義の話とか、進学しようとしている学科の話とか、普通の大学生みたいな会話をした。
水内は冗談を言い、俺も冗談で返し笑った。

「着いたよ伊沢くん」

それは、居酒屋から一番近い、恩賜公園の池だった。
池と言っても一周するのに30分程度する、そこそこ大きな池だ。
昼間には水鳥ものびのびと泳いでいて、家族連れが散歩しているような場所だ。

夜の池は暗く、重油のようなもったりとした重さを感じさせるものだった。

「伊沢くん、今度は私に付き合ってね」

水内はにっこりと笑うと、巨大な池が見えるベンチに座り込んだ。

「ねえ伊沢くん、私、伊沢くんのこと好きなんだよ」

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作者名:ななほし | 作成日時:2021年1月20日 2時

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