空で出逢ったキミ。2

74. ページ24

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彼氏というほどの人じゃないけど……



玉森くんの言葉に一瞬だけ頭に浮かんだ人。





3年前に職場の先輩の結婚式に参列した時、新郎側の参列者の中の1人の男性と二次会のゲームでペアを組むことになった。




その時はそれっきりだったけど、後日先輩夫婦を交えた4人のご飯に誘われて、帰りに連絡先を聞かれてそれから何度かデートに誘われるようになった。




彼は大手企業の御曹司ということもあって育ちの良さが滲み出てて、すごく誠実で優しくて、本当に文句の付け所のない人だった。




だからこそ「結婚を前提に…」って告白された時は正直に嬉しかった。






……けど、1つだけ。


どうしても受け入れられない問題があって。




ゆくゆくは会社を背負っていく彼だからこそ、結婚するなら私は仕事を辞めなければならないということ。


それが向こうの御母様からの条件だった。




今の仕事は私にとっては人生そのもので、同期の麻里奈みたいに結婚を理由に辞めるなんてとてもじゃないけど考えられなくて、彼の告白に頷くことはできなかった。



彼は、私が納得いくまで仕事は続けていいと言ってくれたけど、その時点で嫁姑問題が目に見えてて気持ちが進まなかったのも理由の1つ。




それから彼は会社を継ぐために海外に2年間留学に行ってしまって、たまに連絡が来ては一時帰国の時にご飯に行ったりする程度。




「俺の口から待っててほしいとは言えない」って彼は言ってるけど、蓋を開ければ私も今日まで彼氏ができたわけでもなくて、結局2年という月日が間もなく経とうとしている。




今月帰国するって連絡が来てたけど、以前と変わらず仕事を辞める決断のできない私には彼との未来は考えられなくて、今もそのまま連絡を返せずにいる。



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