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「太輔くんは確かにいい人かもしれない…」
「うん」
「でもその優しさが最初の頃の巧見と重なるの」
姿風貌は全く違うのに。
女性に対する扱いとかさりげない気遣いの絶妙なタイミングとか話した時の返し方とか…
私が心地良いと感じる全てを太輔くんも持ってた。
「優しい人ってみんなに優しいんだよね」
私が巧見を忘れられなかったのと同じように、太輔くんの元カノだってきっと彼がまだ好き。
そしてそれをわかってて切れない太輔くんは、私を手放さずにいてくれた巧見と同じで優しい。
そういう人の言葉一つひとつが、どこまで本気なのかわからなくなってきて。
ただただ見る目ない自分に、もう自信がないー…
「太ちゃんは確かに優しいよ」
「……」
「だけど亮くんとは違う」
茜の真剣な目
力強い言葉の内に幼馴染としての思いが込められてる気がした。
「太ちゃんは好きな人を傷付けたりしない」
「……」
「亮くんは優しいんじゃない。調子いいの。ズルいの。」
うん。わかってる。
全部全部気付いてた。
巧見がダメ男の基準に当てはまることも。
新しい下着にも気付かない。
前髪切ったことにも気付かない。
ただ、やれればいいことも。
そんな奴を切れずに今日まで寄り添った私が悪いことも。
だけど抱き合ったその時だけは、そんなくだらない悩み全てが私の勘違いだと思わせてくれたから。
巧見の気持ちを肌で計って、都合よく理解してたのは私。
そう、ズルいのは私なの。
「太ちゃんは彼女のことちゃんと大切にする。そこは私が保証するから」
「……」
「太ちゃんともう一度向き合ってみない?」
恋愛って不思議で、傷付いた時には二度と人を好きになるもんかと思うのに。
ふとした時にまた誰かを好きになってる自分がいる。
あんなに大好きで、大嫌いだった巧見。
あいつ以外の男を好きになるなんて一生ないと思ってた。
私の心に自然と入ってきた太輔くんを、もう一度信じられるかなー…
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時