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「このマンション?」
「そう、ここの11階」
タクシーの中から建物を見上げると、「寄ってく?」って冗談なのか本気なのか読めない笑顔で俺に問いかける。
「え、あぁ…いや、」
「あっ、でも太輔くんは明日も仕事か。残念」
「明日は午後からだから」
咄嗟に出た俺の言葉を聞いて、一瞬驚いた顔した彼女がゆっくり微笑んだ。
「あっ、ごめん。別にそんなつもりじゃ…!」
「そんなつもりって?」
「えっ…?」
言葉巧みな彼女のペースに俺の頭は回らない。
「いいよ、本当に寄ってっても」
「……」
「このワイン、ちょっと飲んでみたいし」
紙袋の取っ手部分に付いたリボンを指先でクルクルと回して、上目に俺を見る視線に何も言えなくなる。
その視線はすぐに運転手さんに向けられた。
「運転手さん、私ここで降ります」
Aちゃんの言葉にタクシーのドアが自動で開いた。
「今日はご馳走様。ありがとね」
「…っ、」
降り際に背もたれに寄りかかりながら俺の耳元に近付けた顔。
「これ、飲みすぎちゃダメだよ?」
その瞬間に撃ち抜かれた心臓。
あまりの衝撃に男の理性が一気に崩れ落ちた。
完全に意識が浮ついた俺に「おやすみなさい」って一言残して降りたAちゃん。
ドアが閉まったと同時にそのまま走り出したタクシー。
居ても立ってもいられなくて…
これが彼女のやり方なんだとわかってて…
罠に自ら引っかかる俺をあざ笑う彼女を想像しながら、
「すみません!やっぱり降ります!」
タクシーを止めて彼女の元に走り戻った。
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珠美(プロフ) - 美月さん» 美月さん*この作品も読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)こういう小悪魔女子に憧れて書いてみました!コメントいただけて嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします! (2021年9月6日 7時) (レス) id: dad748ef2d (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 珠美さん、こんばんは(^^)こちらの作品も拝見させていただきました!!藤ヶ谷さんを翻弄してしまう主人公ちゃん、やりますねー(笑)こちらの展開もとっても楽しみです!どの作品も本当に素晴らしい!!方々にコメント失礼いたしました<(_ _)> (2021年9月5日 22時) (レス) id: 0eb5a1c4e3 (このIDを非表示/違反報告)
珠美(プロフ) - ぺこさん» ご指摘ありがとうございます!!!本当ですね…!致命的なミスをしてました(T_T)失礼しました。すぐに訂正いたします! (2021年8月27日 14時) (レス) id: dad748ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - 太ちゃんじゃないですか? (2021年8月27日 13時) (レス) id: 9baa58e5fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年8月26日 9時