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無事に羽田に到着してお客様を降ろして、私たちも職場に戻って解散する。
いつもならタクシーで帰る時間。
でも今日福岡のホテルを出る時に山崎さんから連絡が来てた。
》今日仕事？何時着？
って。
奥さんと喧嘩でもしたのかな？
帰りたくない理由でもあるの？
都合良く連絡来て、ご飯食べて(もちろんご馳走してもらって)、家まで送ってもらう。
私には何のデメリットもないから全然いいんだけど、なんか私って本当に自分ってものがない。
不倫なんてする気はないし、そもそも山崎さんに恋愛感情なんて抱いたことないし、だからもちろん一線なんて超えるつもりもないんだけど。
結局断らない私って何なんだろう。
》出発ロビー端で待ってます！
山崎さんに取り急ぎのLINEだけして、フライト中に溜まったLINEを順番に返していく。
………？
真っ暗な中でスマホに夢中になってたけど、ふと私に近付く人の気配を感じて顔を上げた。
「……あっ。」
「こんばんは…！」
……驚いた。
目の前には、玉森くん。いや、玉森様。
完全にオフの私。
いつもそう。
制服脱いで職場を出たらCAの顔はなくなる。
「こ、こんばんは…！
先程はありがとうございました。」
咄嗟に取り繕う私。
「あれ？こんな時間まで……？」
飛行機降りてからだいぶ経ってるはず。
ってか、なんで私なんかに声かけてきたの……？
あなた芸能人でしょう？
私は一般人。
住む世界が違う。
吸う酸素も違うはず。
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作者名：珠美 | 作成日時：2021年6月18日 8時
