Chocolate Sling -2-

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話し掛けるなら今だ、と思った。




2人きりになるなんて、店頭以外では滅多とないチャンスだから。




しかも休憩中。




休憩という名の、プライベートタイム。




職場だけど、今ここにいるのは 俺とAさんの2人だけなんだ。




･････なんて声掛けよう。




まず、問題はそこだった。




Aさんについて聞くにしても、いきなり質問したら絶対不審に思われる。




お弁当美味しそう、とか？




あわよくば、一口ちょうだい、とか可愛く言ってみたりして･･･




･････いやいやいや、無理。




いくらなんでも馴れ馴れしすぎる。




でも、自然な会話が出来るとしたら 今食べてるお弁当の話題くらいしかない。




ジッ･･･とAさんを横目で見つめる。




･･･ん？




あの指の動きって、もしかして。




画面に集中してるAさんは、ゆっくりと立ち上がった俺には全く気付いていない。




そのまま後ろへ回って画面を見下ろすと、やっぱり思った通りだった。




ニヤニヤが止まらない。




好きな人の画面盗み見てニヤニヤしてるとか、超キモい奴奴じゃん･･･(笑)




「ゲーム好きなの？」




さっきまでの緊張が嘘みたいに、極々自然に話し掛けることに成功した。




「…玉森くん、」




振り向いて、目を丸くするAさん。




う･･･やっぱり緊張してきたぁー！




働かない頭をなんとかフル活動させて、次の言葉を必死に絞り出す。




「それ俺もやってるよ！」




うわっ、口調がキモい。




5歳児かよ、キモすぎる。




何やってんだよ俺ー･･･




「え…っと、そうなんだ？」




でも、話し掛けてしまったからには もう後には引けない。




ふぅ、と呼吸を整える。




「…結構マイナーなやつだからびっくり、」




「へ？そうなの？」





「そうだよ〜(笑) ちなみにこれ、対戦とか協力プレイも出来るんだけど…」




だってこれ、パズ○ラとかモン○トみたいに大々的に宣伝されてないし。




皆やってるから俺も、っていうのはなんとなく嫌で、敢えて誰も選ばなさそうなマイナーなやつに熱中している。




「…うん、」




これは偶然？




それとも･･･




いや、たとえただの偶然だったとしても。




「一緒にしない？」




これはきっと、チャンスだ。




絶対にAさんを振り向かせたい。




･･･振り向かせてみせる。

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