可憐な欲望 ページ23
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「…っ、高……二階堂くん?」
驚いた表情で俺を見つめるその瞳は、あの頃と変わらない。
ただ、少しだけ違うのは・・・
長めに引かれたアイラインに、淡く綺麗なピンク色に染まった唇。
化粧っ気などまるでなかったあの頃が、まるで幻だったかのように・・・
『…変なの、Aじゃないみたい。』
「ちょっと、久しぶりに会ったっていうのにそれはないでしょ?!」
・・・いや、やっぱりAだ。
口を尖らせて怒る癖も、怒ったかと思えばすぐに笑顔を浮かべるのも。
どんなに見た目が変わろうと、たしかに俺の知ってるAはここにいる。
『……。』
「……来るなんて、思ってなかった。」
『…そこまで俺心狭くねぇっつーの (笑)』
・・・・・なんて、そんなのはただの見栄だ。
本当は、今朝ギリギリまで来ようか迷っていた。
「…私も、迷ってたよ。」
『……。』
「元彼に披露宴に来てもらおうなんて……そんなの普通ありえないでしょ?」
『まぁでも、俺の元にはたしかに披露宴の招待状が届いたけどね。』
薄いピンクの封筒に、オシャレ〜な筆記体で書いてたもんね?
Aの名前の前には、元の苗字じゃなくて別の人の苗字があって・・・
あぁ、やっぱり現実なんだよなって。
ようやく諦めがつく・・・
そんな気持ちを胸に、今日はここに来たんだ。
A「ねぇ、着替えるまでにまだ時間があるの。少し庭に出てみない?」
『は?…いや、ダメでしょ。』
ここ、披露宴の会場だよ?
そこの庭で花嫁と花嫁の元彼が一緒にいるとか、絶対にダメなやつじゃん!
そこに新郎がやってきて、俺を見たら・・・
『……。』
っ、やば・・・絶対修羅場になるわ。
つか、Aのとんでもない提案にあらぬ想像までしてしまったじゃんか・・・
「…彼なら、まだ来ないから。」
『え…』
「仕事で、遅くなるんだって。」
『……そう、なんだ。』
「うん。」
『…ははっ、忙しそう。次期社長だっけ?』
「うん。私にはよく分からない世界だけど……藤ヶ谷さん、今すごく頑張ってるみたいなの。今日だってホントは仕事なのに、わざわざ切り上げて来てくれるって……」
"藤ヶ谷さん"
Aが相手をそう呼んでいることに、情けないことにホッとする自分がいた。
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nanaco(プロフ) - みちこさん» そう!ニカを元彼にするのはちょっと既に泣けてきます・・・なんだか婚約者=藤ヶ谷さんのイメージしません?笑 そうですよ、訳ありなんですよ〜。゚(゚^ω^゚)゚。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 恵美さん» が、頑張ります〜。゚(゚^ω^゚)゚。笑 (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - りっちゃんさん» やっぱり何を書いてもニカちゃんになりそうで抜け出せなーい!です(//∇//)w いきなりキャラ変はアレなんで、徐々にぶっ飛んだニカちゃんにしていこうかと(笑)また宜しくお願いします♪ (2019年9月23日 20時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - nanacoさん» 今度は元カレ設定?太ちゃんが恋敵?だけど何だか訳ありな(^.^)続き楽しみにしています(^_^) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
恵美(プロフ) - 早めに更新お願いします(笑) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 9abe6fed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanacoy1139 | 作成日時:2019年8月31日 21時