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「はぁ〜！終わった〜！」
そう言って大きく伸びをするのは隣のクラスで衣更と同じユニット『Trickstar』に所属する明星スバルだ。
彼とは校内アルバイトで一緒になる事が多く、又スバル自身コミュニケーション能力が高いのか私が始めた当初から直ぐに打ち解けた。
「スバルお疲れー」
「うん！Aもお疲れ〜！」
臨時の清掃と云う事もあり、人数不足であんずも参加を申し出たが、只でさえ校内を何周も駆け回って人を集めてくれた一番の功労者を更に働かせる訳にはいかないと参加者全員が思い、説得して何とか帰宅して貰った。
其処からは少ない人数を駆使して、どう効率よく迅速に作業を進めて行くかを決め、全員が早く綺麗に終わらせる為に尽力を尽くした。
もし、この人数でいつも通りのペースで清掃を行っていたら、恐らく作業量から考えて19時を超えていただろう。
「先輩方、お疲れ様です。
ぼく、お先に失礼します」
「あ、創君もお疲れ」
「しののんお疲れ〜！」
律儀に頭を下げて、先に昇降口へ向かって行ったのは一年生の紫之創と云う少年だ。
彼もスバル同様よく校内アルバイトで一緒になるが、その小動物を思わせる可愛さと癒される声にはいつも和まされる。
「あれ？A、帰んないの？
もしかして、泊まり？」
創君が去ってから少しして帰宅準備を終えたスバルは別の方向へ歩き出す私に声を掛けた。
「ううん、帰るよ。
部室に鞄忘れたから取りに行くだけ」
部室から急いで直行した為、ついスクール鞄を部室に忘れてしまった。
幸い、部室にはこの時間帯でも夜に強い朔間先輩が居る事が多い。
それこそ『もしかして、泊まりなんですか？』と訊ねたくなる。
「俺も付いて行こうか？
もう暗いし、校内でも女の子一人じゃ危ないし〜」
「大丈夫、大丈夫。
朔間先輩居ると思うし」
「あ〜朔間先輩って、結構遅くまで居るよね。
でも、朔間先輩が居るなら大丈夫か〜」
スバルはうんうんと頷いた後、『じゃあ、俺帰るよ。お疲れ〜！』と私に手を振り、駆けて行った。
そして、スバルが見えなくなった所で私も軽音部部室へ向かう。
静まり返った廊下には自分の足音だけがよく響く。
前の学校でも偶に部活動の後片付けで遅くなる事があったが、あの時は友人や先輩達と一緒に『ホラー映画によくあるシチュエーションごっこ』をしていた記憶がある。
勿論、騒ぎすぎて職員室に残っていた先生に怒られたが、とても楽しかった。
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作者名：ナナシ | 作成日時：2018年4月7日 12時
