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思わずガッと彼…大神晃牙の背中に手加減したチョップを食らわし、晃牙がよろけた隙を狙い縫いぐるみを奪還した。
案の定、晃牙は『なにすんだテメェ！』と憤怒したが、私はそれを無視して縫いぐるみを葵達に渡す。
幾ら出来が悪いとは言え、蔑ろにされると地味に腹が立つ。
「この俺様に毎度突っ掛かりやがって…！
今日と言う今日は許さねーぞ！」
「そっちこそ、毎度毎度わんわん煩い！」
「だから、俺は犬じゃねーつってんだろ！」
転校当初は同じクラスの男子生徒位の認知しか無かったが、同じ軽音部になってからは教室でもプロデューサー業でも部室でも一番顔を合わせ、会話をする男子生徒になっている。
しかし、それはけして穏やかでは無く、晃牙自身私の軽音部入部をあまり快く思っていないからだ。
その全ての原因は今棺桶で眠っている軽音部部長で『UNDEAD』のリーダーの朔間零先輩にあるらしいが、晃牙に理由を訊ねても答えてくれる訳がない。
「ちょっと、二人共止めてくださいよー！」
「そうですよ！
あまり大きい声出すと朔間先輩が起きちゃい…」
「おはよう、愛し子達」
「ましたよー……」
「ましたよー……」
朔間先輩のお目覚めにはぁ…と綺麗に重なった葵達の溜息が部室に響く。
私と晃牙も言い合いを止めた……と言うよりは晃牙が噛み付く相手を直ぐ様、朔間先輩に変更したと言うのが正しいだろう。
「おい！吸血鬼ヤロー！
やっぱ、この女退部させろッ」
「はぁ！？」
突飛な事を言い出した晃牙に対して私はガラの悪い声を上げてしまったが『A先輩落ち着いて〜！』と葵達に宥められる。
そんな私達を余所に朔間先輩はのんびりと頭を掻き、欠伸をしていた。
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作者名：ナナシ | 作成日時：2018年4月7日 12時
