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夕方に近付くショッピングモールは学校終わりの学生や晩御飯の食材を買う為に地下食品売り場へ向かう主婦達が多い。
良太君も来美ちゃんも初めは一緒に行動する事を渋っていたが『ダブルデート』と言う事で何とか納得して貰えた。

そして、私は良太君と。
朔間先輩は来美ちゃんと手を繋ぎ、先ずは来美ちゃんの『洋服を見て欲しい』と言う希望を叶える為、来美ちゃんが愛用している子供向けブランドショップへ向かった。
ショップには衣類の他にも文具やコスメ、ポーチにアクセサリーも揃っていたが、どの品物も可愛さ中に大人っぽさが有り、とても子供向けとは思えない。
特にコスメはごっこ遊びで使うような玩具では無く、化粧水からファンデーション、チーク類まで本格的な物で今時の小学生は本当に大人っぽいんだなと改めて驚いた。

しかし、男の子の良太君には女の子向けのショップは退屈しかないようだ。

私は朔間先輩に『何かあれば連絡してくださいね』と伝えた後、良太君を連れて店前のベンチに座り二人を待つ事にした。


「我儘言ってごめんね、良太君。
次は良太君が行きたい所決めていいからね」

「ううん。
おれはお姉ちゃんが行きたい所でいいよ。
それにワガママなのは来美の方だし」


そう言って、口を尖らせる良太君に私はん?と首を傾げる。
今朝、来美ちゃんと良太君が同じ方向へ走り去るのは見ていたが、二人が特に親しく会話をしていた姿を見た事がない。
それなのに、良太君は来美ちゃんの事を『来美』と呼び捨てにしている。

その瞬間、私の中で幾つかの可能性が浮上し始めた。


「そう言えば、良太君って一人っ子?」

「ううん。
上に中学生の兄ちゃんがいるよ」

「そうなんだ……」


取敢えず、一つ目の可能性は潰れた。
だとすると次は……と考えていると『ねぇ、ねぇ』と不意に声を掛けられた。
一瞬、私と良太君に降りてきた影で買い物を終えた朔間先輩と来美ちゃんかと思ったが、声の低さと視界に入ったうちの学校とは違うスラックスの色に他校の生徒だと察した。
そして、嫌な予感がしながらも顔を上げると其処には私と同い年……もしくは一学年上位の『派手』を絵に描いたような男子生徒が三人、私達を囲うように立っていた。


「なんですか?」


少しきつめの口調で訊ねると一人は煽るように口笛を鳴らし、一人は小声で『こわっ』と笑いながら呟くのが聞こえた。
あまりよろしくない空気に良太君が私のセーターの袖をぎゅっと掴んでくるのが解る。


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作者名:ナナシ | 作成日時:2018年4月7日 12時

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