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「言われちゃったね」
「仕方ないよね」
「でも、A大丈夫?
私、家まで付き添おうか?」
「大丈夫、大丈夫。
なるべく日影で涼しい場所を通って帰るよ」
今は屋根も多く、ショッピングモールの出入り口やバス停にはミストが噴出されている所もある。
其処を上手い具合に利用して帰れば何とかなりそうだ。
そんな事を考えているとあんずが何かを思い出し、私にこう提案した。
「それなら日が暮れるまで部室に居るのはどう?
Aが倒れる前に私朔間先輩に会ってたから居ると思うよ。
この後、棺桶で寝るって言ってたから」
「う、うぅん……」
「え?何その微妙な顔……」
あんずがドン引く程、私が一体どんな顔をしているのかはさておき、今私がもっとも顔を合わせたくない人ナンバーワンが朔間先輩だ。
けして朔間先輩は悪くないのだが、例のカラオケでの帰り道。
私が朔間先輩のベストを引き、そして逃げるように帰宅した。
それ以来、何故か朔間先輩の顔を見るとあの時の綺麗な横顔を思い出し、顔が火照ってしまう。
夏休みに入ってからは『流星隊』と行ったあのイベント以外会っていない。
否、会わないように私がプロデューサー業の隙間時間に校内アルバイトや雑務をして徹底的に時間を詰めていた。
プロデュースに夢中になりすぎて、自分の体調を管理出来なかったのも事実だが、恐らくそれ等も原因の一つだ。
「A、『やっぱり』朔間先輩と何かあったの?」
「ううん……え?やっぱりって?」
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作者名:ナナシ | 作成日時:2018年4月7日 12時