【黒バス】素直になりたい私と、素直な君。【黄瀬涼太】

第44話 ページ45

.(貴方side)





｢そんなわけだろ｣と必死に笑う。


あぁ、笑うというのはこんなに辛いことだった
だろうか。


これで前のように話せるかもしれないのに、
嬉しいはずなのに…








貴｢…すまない、少し用事を思い出した｣








……こんなに胸が痛いのはなぜだ。


こんなに目の前が霞んで何かがこぼれ落ちそう
なのはなぜなんだ、夏休みの間彼と会わなくて
いい、このまま帰れば全て元通りになる。








黄｢Aっち！｣








───…なのになぜ君は私の名前を呼ぶんだ。


後ろから聞こえてくる足音が止まる前に上を向き
涙を乾かす。








貴｢なに？｣








目も顔を見れない、彼にとっては違和感だらけ
かもしれない。


でもこれが私に出来る最低限の演技だ。








黄｢Aっちって誕生日夏休みの間だったスよね？
だから早めの…｣








はい、と渡されたのは"Happy Birthday"と書かれた
手紙付きの綺麗に包装されたプレゼント。



プレゼントとの重みを感じた時には涙が重力に
逆らうことなく包装紙を濡らした








黄｢え…、Aっち……？｣

貴｢気にしないでくれ…っ、嬉しいだけだから…！｣








もらったプレゼントをきつく抱きしめながら
その場にうずくまる。


人前で泣くなんてしたくないのに、彼を困らせ
たくないのになぜか涙が止まらない。








貴｢すまない、すまない…っ！｣








───…私が恋してしまってごめんなさい。

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