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小柄で、可愛らしい見た目をしている彼は、一見すると女の子のようにしか見えない。いわゆる可愛い系男子というものだろうか。

クラスメイトから囲まれながらも笑顔で受け答えしている転校生を遠目で見ながら、優樹菜は心の中で「また個性的なのが・・・」と思っちゃってたりする。


いつの間にか結愛も会話に混ざっている。なんなら、転校生に躊躇なく「可愛いね!」なんて言いまくっている。流石は男女問わず好かれる天才コミュ力の天下一品結愛様だ。



関わりのない人とはあまり自らコミュニケーションを取らない優樹菜は自席で本を開いていた。ペラペラとページを捲っていたのだが、ふと誰かが目の前までやってくる。


「ねえ!君のお名前はなんて言うの?」

『 』

「・・・あれ?大丈夫?おーい」



・・・・・なんでここにいる。


弾かれるようにして顔を上げれば、そこには転校生が。唖然とする優樹菜の顔の前で手を振った彼に我に返り、うわずった声ながらも「な、なに?」と答えた。



「だーかーら、名前!僕、君の名前知らないから」

『えーっと・・・成瀬だよ。成瀬優樹菜。えと、いいの?羽倉君、皆に囲まれてたんじゃ・・・』

「優樹菜ちゃんね。いいのいいの、僕は話したい子と話すから。教室入った時から気になってたんだよね、優樹菜ちゃんのこと」



これは、口説かれてるのか?それとも、ただの天然なのか?

当惑を隠しきれずにいる優樹菜に、更に彼は突っ込んで行く。




「ね、今日の放課後時間ある?ここら辺のことよく知らないから、一緒にどっか行きたいなあって」

『まず、よくこの物騒なところに来ようと思ったね・・・』

「え?」

『あ、ううん。別に私はいいけど・・・』

「じゃあ決まり!楽しみしてるね!!」




弾けるような笑顔でお礼を言われ、その可愛さに思わず笑顔を引き攣らせてしまった。本当に男なのだろうか、わからなくなってくる。

でも、悪い子ではなさそうだ。



よろしくね、なんて手を握って来る環を見ながら優樹菜はそう思ったのだった。







まあ、あとでこの印象は一気にひっくり返されることになるのだが。

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作者名:ゆゆ | 作成日時:2023年5月30日 22時

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