*黒尾鉄朗の愛情表現*

愛情表現 11 ページ12

*



「A〜、会いに来たぞ」

「……あ」




授業が終わり、

今日だけは待ちに待っていなかった昼休みがやってきた。



いつも通り黒尾くんは笑顔で会いに来てくれて。




「ん？ 目の下くまできてる」

「あっ、うん……ちょっとね」




少し屈んで私と目線をあわせてくる彼に、
思わず顔を背けてしまった。


ちょっとちょっと、真っ向コミュニケーションは
どうした自分!!




ちゃんと話さないと……


と思いながらもまともに彼の方を向けない私。



残念ながら昨晩のイメージトレーニングの効果は
皆無である。




どうしよう、どうすればいいんだろう。

頭をフル回転させて必死に考えていたら、



不意に彼の大きな手が優しく頭を撫でてくれた。




「あんまり無理すんなよ」

「……うん」

「何かあったなら頼ってくれていいんだからな」

「……………」




黒尾くんのその言葉に私は何も言えなくて。


黙り込む私に、彼もこれ以上は詮索してこなかった。





だって、自分が彼女としてふさわしいかで悩むなんてまるで彼を信用してないみたいだし、

そんな風に思われるのは嫌だ。





……どれもこれも、

私がもっと可愛い性格だったらよかったんだろうなぁ。

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