コナン君だけお引き取り下さい。II【沖矢昴】

48___考え方 ページ44

江「もー、……赤井さん。Aさんに説明してから来てよ」
赤「すまない。説明が遅れていた」
江「Aさんも深呼吸」
『は、はい』



最早顔面蒼白、と言った方が早いな。

混乱している彼女に一先ず水を渡して目の前に座れば今度はカップと俺を交互に見始めた。






赤「混乱しているところ悪いが、
俺は"赤井秀一"という。

訳あって沖矢昴という男に変装していた」







何度か目を擦った後に彼女は俺と真っ直ぐ目を合わせて『成る程』と震える声で一言。


ようやく話が出来たか、と思ったのだが。



『コナン君。その組織とやらに本当か聞くから居場所を教えてくれるかな』
江「ちょっと待ってやめてね」



全然成る程じゃないな。


声が上擦って顔を青くさせる彼女に納得いくまで説明する事数分。今度こそ、『成る程』と言った彼女はようやく水を飲んだ。




『赤井秀一さん…？』

赤「なんだ」

『本当に赤井秀一さんだ』

赤「…何の話をしている」




会話が成立していない事に不安を覚えるが一応理解は出来ているらしく、秘密にする事等もボウヤに先程言われたらしい。
チョロいのも考えものだな。



赤「それで、だ。君も俺の正体を知る一人になった訳だが…そう易々と家に帰せんな」

『困り、ますねそれは…赤井秀一さん…赤井秀一さん？』






赤「…赤井でいい。外にいる時は今までどおり昴で頼む、が…何故そんな片言なんだお前は」
『いや、特に理由は…無いですよ赤井さ、ん？』





また名前呼びから始めなければいけないという事か。



面倒だな、とどこか心の中で思いつつも再びあのやり取りを赤井秀一としてやれるのだから楽しんでいたり。彼女に惹かれていたのは沖矢昴としてでもあり、赤井秀一としてでもある。

今度こそは絶対に守ってみせると決意したのだから、




「僕もお風呂行ってきていい？」とボウヤに聞かれ、了承を出せば『コナン君風呂行くの』と焦った顔の彼女。



赤「Aさん、何か飲み物いりますか？」

『要らないし昴さん口調やめてください。違和感しかないですし…というか昴さんにしかその話し方似合いませんから』



…俺は名前で呼ぶなと。(違う)


沖矢昴も二人目の自分だが、これは複雑な気持ちだな。


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