真夏の夜は貴方を想う2【SS】 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:53,813 hit

その意味は… ページ21

見慣れた街並みが目に入ってきた。

信じられない…
櫻井先生におんぶされてるなんて…

そう思うだけでドキドキが止まらない。

先生との距離が近すぎて、自分の心臓の音が聞こえていないか不安になる。

「先生…しんどくないですか？」

心臓の音をかき消したくて、私はそう言った。

「ハハッ、俺そんなにへなちょこに見える？
　もうちょっと鍛えないとなー。」

先生はきっと私に気を遣わせないようにしてくれてるんだ…
先生の優しさに触れるたび想いが募る。

そして、私がドキドキするのにはもう一つ理由がある。

先生の香りだ。

雨に濡れた先生からは、
いつもの煙草の匂いとは違って、シャンプーの香りが漂ってくる。

(いい匂い…。)

その香りに引き寄せられるように。
私は先生の首に鼻を近づけた。

すると、

「…くすぐったいんだけど。」

「っ、ごめんなさい！つい、無意識に…」

ハッと我に帰って謝る。

「……いや、いいんだけど。
　あんまりそういうことしない方がいいよ？」

「本当にごめんなさい！」

どうしよう引かれちゃった…そう思っていると、

「あんまドキドキさせんな…。」

先生は耳を赤くさせながらそう言った。
　