Stand by me 5

199〜Fside〜 ページ38

翔「Aと別れた事、
後悔してるんです。どこかで
Aは僕のところに帰ってくる
って信じてました。でも、帰ってくる
どころか、どこにいるのかさえも
わからなくて、今日、やっと見つけました」




藤「今更なんじゃない？
あなたが、どう思ってたとしても
今、Aの中にあなたは
いないと思うけど」




翔「藤ヶ谷さん、本気ですか？
ただ、遊びでつきあってるだけ
じゃないんですか？
だって、Aじゃなくたって、
周りにいくらでもいるでしょ？」



藤「いないよ、Aの代わりなんて」



勝手に決めつけんな




翔「俺といたほうが、Aは
幸せになるに決まってる。
お願いします、Aを返してください」




腹が立つけど、
こいつの気持ちもわからなくはない



俺らみたいな仕事してるやつに対して
思う気持ちは、きっとこうなんだよな



でも、はいそうですかって
Aを渡すわけねーだろ




藤「物じゃない。誰といたいかは、
Aが決める事でしょ？
あなたと同じように、俺も思ってるよ。
幸せにしてやりたいって」




翔「……なら、賭けをしませんか？」




は？こいつ何言い出した？




藤「賭け？」




翔「Aは、嘘をつくのが下手くそです」



……知ってるよ



翔「だから、聞くんです
あなたといて幸せなのか。
この先の将来、少しの不安もないのか」




……不安がまったくない訳ないだろうが




翔「顔を見ればいっぱつでわかる。
少しでも、迷いがあるなら、
俺が連れて帰ります」




藤「諦める覚悟は、できてんのね？」




ここまで、言うからには、のっかるしかない




Aが、俺との未来に不安な気持ちが
あるのか、ないのか、はっきりわかる




いい機会なのかもしれない





翔「はい。正直、藤ヶ谷さんの
真剣さは、わかりましたから。
Aが、なんの迷いもなく
幸せだと言うなら、
いさぎよく、諦めます」

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