【あんスタ】そばにいるよ【大神晃牙】 (ページ3)

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03.足手纏いになりますページ3

ふむ、と朔間先輩が頷く。

「嬢ちゃんのことは知っておるよ。1Aの子じゃろう？名前はA、そうじゃな？」
「は、はい。そうです」

私のプリントに目を通しながら、朔間先輩が微笑む。それだけのことなのに、なぜかとても絵になっているように感じた。

「専属プロデューサーがいるというのは悪い話では無いのう。見たところ、この原案もよく考えられておるし…」
「……わ、私なんか、UNDEADの皆さんの足手纏いになります…！」

耐えきれなくなって、私は声を上げた。朔間先輩の赤い瞳で見つめられ、私はどうしようもなくなって顔を歪めた。彼はただ静かに、私を見つめていた。

「足手纏いになんかなりゃしね～よ」

大神先輩の静かな声が響いた。さっきまで声を荒げていたのに、私を嗜めるような声音で彼は私を否定した。私を否定する私を、否定した。

「じゃが、嬢ちゃん。このまま学園生活を送るわけにはいかんじゃろう？まだ一年生、しかもまだ夏にもなっとらんぞい。今できないことは、これからできるようにしていけばよいだけの話じゃ」

朔間先輩が、ゆったりとした口調で話しかける。
これからでは、遅いんだと思っていた。私の数歩、いや数メートル先を行く彼女に追いつかなければいけないから。でもそんなことできるはずがなかった。
本当は誰かに、手を差し伸べられるのを待っていたのかもしれない。私は、1人じゃ立てないから。とんだ甘ったれだ。

「我輩たちの、UNDEADのもとで、嬢ちゃんの本当の才能を見つけるとよいぞ。知っておると思うが、我輩は朔間零。宜しく頼む」
「……ほ、本当に、いいんですか？」
「もちろんじゃ。それに、断ろうものならそこのわんこに食い殺されそうじゃからの。ああ、怖い怖い」
「誰もんなこと言ってね～だろ！！」

朔間先輩は大げさに肩を震わせて、また棺桶の中へ戻っていった。一眠りするらしい。
この空間に、大神先輩と私、2人だけになった。

「帰るぞ」
「えっ」
「あ？なんだ？てめ～はこの辛気くせ～部屋にまだ用事でもあるってのか？」
「な、ないです！ありません！！」

2人で並んで歩き出す。
さっき話したばかりのはずなのに、どうしてだろう。
この感覚が、初めてじゃない気がするんだ。