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ちょうどその時、こちらへ向かう足音が後ろから聞こえた
あ「あれ?トキヤまだ帰ってなかったの?」
「A。実は、私としたことが傘を忘れてしまいました」
あ「ええっトキヤが?珍しいね」
そう言ってAは笑う
昔と変わらない笑顔を見て目尻が下がり、口元が緩んでしまう
この笑顔を見れば、気持ちが穏やかになることも、昔とちっとも変わらない
あ「なにニヤニヤしてるの。トキヤ、帰ろ」
「ええ」
少しプルプルと腕を震わせながら私の身長に合わせて傘をさそうとするAを愛おしく思った
「私がさします。ほら、この方がいいでしょう」
あの時は、またこうして2人で帰ることができるなんて思いもしなかった
...それも、同じ制服を着て。
こんな会話は何年ぶりだろう
昔は、よく相合傘をして帰った。
天気予報なんて気にしないAが頻繁に忘れるため。
少し手が冷えるような日は、どちらともなく手を繋いでポッケに入れながら歩いた
胸が脈打つのを感じては、幼馴染みだからだ、と自分に言い聞かせて平常を装っていたのをよく覚えている
本当はそうじゃないと、とっくの間に気づいていたのに。
傘を外側の手でもつ
内側の手で少し傘からはみ出ているAの肩を近くに寄せたとき、
触れた小さな手が私の鼓動を速くさせる
認めるのが怖くて気持ちから逃げていたあの頃
奇跡的に、再び寄り添いながら帰っている今
自分の肩が雨で濡れることなんか気にせず、歩き出した
実はバッグに折りたたみ傘が入ってるなんて、音也とAは知らない
〈もう、逃げない〉
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確信犯なトキヤ
お次は誰かなぁ(*^o^*)
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作者名:なめ | 作成日時:2016年8月27日 2時