自分を憎んだ赤目の化け物実況者 (ページ5)

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歌い終わると、さっきの敵意はどこにいったのか、分からなくなるほど懐かれてしまった。
「さっきの状況もどうするかだったけど、今の状況もどうするかっていう状況だよな。
なぁ、アルパカさん？」
〝ガサッ〟
後ろの茂みから音をだしてから、今度は拍手をして、こっちに近づいてくる。
「お見事！すばらしい！さっそく第1ステージクリアとは。
初めまして。ワタクシ『ナカノヒトゲノム』監視役・13番街担当、パカと申します。」
「へー。よろしく。
それで、第1ステージって？」
「それも、説明させていただきます。
第1ステージ『アニマル合戦』。...迫りくる巨大生物をいかに多く倒し、切り抜けるかがクリアポイントでしたが...。
巨大パンダと和解を試みた方は先ほどいましたが...。まさか、この森にいる主な動物たちと和解した方ははじめてです。実に興味深い。
新しいプレイスタイルは多くの閲覧者の心を魅了し、結果、再生数を大幅に跳ね上げます。」
「再生数なぁ...。もしかして、左手首についている体表型カウンタの事か？
どうせ、俺が寝ているときに埋め込んだだろうけどな」
「...本当にすばらしい方ですね。狼実況の血月様。」
なるほどな...。少しは俺の事を調べたらしいな。
「で、俺はこれからどうすればいいんだ？」
「フフ。では、単刀直入に申します。
あなた方がここでなすべく事はただ1つ。
そのカウンターを１億まで回すこと。
すなわち「ナカノヒトゲノム』リアル実況のおいて再生数１億ビューを達成すること。
なお、プレイ期間は無限にございます。
どうか、死ぬ気で実況してくださいませ。」

(死ぬ気で...か。
ここでなら『僕』は死ねるかもしれない。なら...)
「やってやりますよ」
これは、自分自身の罪の言葉だ。