転生 ページ20
夕先輩達は卒部した。
いよいよ俺らも3年生になる。
その寒すぎる時期に行われる冬の大会。
俺は夏の大会の後、お眼鏡にかなったようで夏休みにユースに呼ばれ、練習に参加した。
ハイレベルな選手に、それに合わせた練習はかなりハード
それでも心が折れないのは目的があるから。
俺はオールラウンダーになりたい。
それがあるだけで、俺の心は折れない。
その真価を大きな大会で発揮すべく、
ユースの練習で見てきた、盗んできた技術を仲間に共有した。
幼少の頃から、俺は天才ではない。
たくさんの努力という自己満を貫いた結果ら、今こうなっているだけ。
人より優れていると言えるのは、体力と身長くらいなもの。
天才なのは、北川第一のセッターくんや、牛島さん、そして自由すぎる俺に難なく合わせ、対応出来る千鳥山バレー部のみんなだ。
天才に囲まれた凡人の俺は、ただ諦めずに、天才に追いつけるように努力するしかない。
天才に憧れることがあっても、比べて自分を卑下してはならない。
それに自分の課題を見つける以外に比べたって他人なのだから優劣くらいある。
心が壊れてしまうような、傷つけてしまうことをわざわざ考えるだけ無駄ではないか。
俺はそう思っている。
もちろん違う考えもあっていいと思う。
誰かの考えや思考の仕方を否定する気もないし、
俺も誰かに間違ってると言われるスジもない。
ただ俺はそう考えている、ということ。
ーーー
ー
新年
期末テストを終え、冬休みに入り、新年迎えてすぐに大会がある。
今年は受験もあるということで
2年ズの4人で初詣に来た。
「………ズルッ…さぶい。」
「新星はほんとに寒がりだよな。」
「新星くん、大丈夫?」
「体調には気をつけろよ、特に新星。」
たくさん着込んできたのに、何年経ってもなれない寒さ。
なんでみなさんそんなに平気なんですか。
解決することの無い疑問を浮かべながら、元気に談笑しながら歩くみんなを、顔をマフラーに埋めて手袋した手をダウンコートのポッケに入れて後ろから着いていく。
寒いの苦手だ。
ボール痛いし、乾燥するし、体温まるまで長いし、感覚鈍るし、寒いし、寒い通り越して冷たいし、冷たい通り越して痛い時があるからだ。
寒い事を嫌だ嫌だと思いながら、道端に寄せられた雪を眺める。
こんな時間もあっという間だったりするんだよなぁ。
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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです!ワクワクが止まりません!新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました! (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2024年3月16日 18時