抱えた闇は知っている Ｆirst,Story

11＊身勝手な私 ページ13

［SIDE:A.T］


「いってきます、」

最近言っていなかった『いってきます』、

久しぶりに言った。

最後なんだから、いいよ…ネ。

今日は、

最後の学校

最後の秀明

最後の家

覚悟してる。

「待ちなさい。」

後ろには、ママが私を睨んでいた。

でもすぐに、笑った。

「言ってなかったと思うけど、

明日、養子縁組実行日なの。

このスーツケースに物、入れときなさい。」

ピンク色のスーツケースを投げつけ、

リビングに帰って行った。

もうすぐ終わるんだから、

こんな生活。


＊


ギリギリセーフ！

ママに、呼び止められて時間ロス。

チャイムと同時に席に座った。

そうだ…。

若武…。

途中受験したって…。

このクラスじゃないよね…、

教室を見回すと…

若武の瞳があった。

ニーっと笑ったきた。

やめてよ。

私は明日、あなた達の仲間から消える。

それなのに、

私のことなんて分かってないくせに…‼

自分でも分かった。

若武のことが嫌いになったんじゃない。

こんなことを思ってる自分が、

“情けないんだって”

ごめん。みんな。

ごめん。リーダー。

こんな身勝手な私を許して。

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