<学へタ>虹の下で誓おう Part3

91#　マフラー ページ16

『まもなく カナダ行きの飛行機が出発致します

　 お乗りのお客様は 機内へお乗り込みください―――』


アナウンスが別れの時間を告げた。


貴「もう行かなきゃ…。」

露「そうだね。」


イヴァンさんが寂しそうにポツリといった。

露「これ…。君にあげるよ。」

イヴァンさんが手渡してくれたのは、ベビーピンクのマフラー。

貴「マフラー？」

露「そう、マフラー。マシュー君の家はぼくんちと同じくらい寒いからね。

風邪引かないように…ね？」

貴「…ありがとう。大事にする。」

あたしはそのマフラーを大事そうに抱えた。


貴「それじゃあ…また、一学期にね。」

飛行機に入るドアのほうを向く。

露「До свидания.」


あたしは振り返らずに搭乗口へといそいだ。


・


露「Я тебя люблю.」


・


飛行機が出発してから早十分。

あたしはさっきイヴァンさんから貰ったマフラーをとりだした。

顔をうずめてみると、お店の匂いはしなかった。


貴「…イヴァンさんの匂い」


イヴァンさんのあの特徴的な、おひさまの匂いがする。

きっとイヴァンさんの手作りだろう。

…イヴァンさん器用だからな。


こうしてマフラーに顔をうずめていると、なんだか安心してくる。

これは宿泊学習のときのことをおもいだしたからなのか、なんなのか。


とにかく、これだけは言えるってこと。

それは…、イヴァンさんが大好きっていう、ただそれだけのこと。


貴「イヴァンさん、これからもずっとあたしと一緒に居てくれますか？」


・


・


僕は出発した飛行機の背中を眺めていた。

ソビエト解体から、ずっとひとりぼっちだった僕。

君に会えて、本当によかったなぁ。


露「Aちゃん、これからもずっと僕と一緒に居てくれますか？」


いつになく晴れ渡った空に、大きな虹がかかっていた。


…ｅｎｄ.


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


はいっ！ということで、第１シーズン終了です！

ここまで私の駄文についてきて下さってありがとうございました。

引き続き第２シーズンもついてきてくださるとうれしいです！


それでは第２シーズン、始まり始まり〜〜〜！！


↓始まるよ！

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