検索窓
今日:6 hit、昨日:30 hit、合計:84,377 hit

beauty FULL ページ50

.


夕日が、ドラマチックに空と海を染めていた。

オレンジの中心から、たおやかなピンクがグラデーションで広がっていて

海面が、万華鏡のようにゆらゆらきらきらと、カラフルに色を付けている。


涙が出そうなほど、きれいだった。


「ハハ…、居るし…(笑)」


浅くも深くもないところで、ぷかぷかと仰向けに浮いている。

イルカみたいに、背をのけ反らせてそのまま頭から潜ってゆき、しばらく見えなくなったあと

智はザバンと浮き上がってきて、海面に顔を出した。


両手で濡れた髪をかき上げると、ゆるやかな夕日の光に目を細めた。

また少し焼けた肌。服を着ていない上半身は細いのに、程よい筋肉できゅっと締まっていた。


両手で海の水を掬い上げて、真上に放り投げると、空中に舞った水の塊が オレンジに、黄色に、ピンクに染まる。


それを愛おしそうに見つめて、やっぱり仕舞いには

自分の手の甲についた 海の雫を 唇ででちゅ…と吸い取ってしまう。


それで、満ち足りた微笑みを空に向けて

ようやく智は、砂浜に引き返してきた。



海水をごくごく飲んでしまわなくてよかった…と変な安堵をしている自分もちょっとおかしい。


「…… Please don't, Please don't, … Don't sleep on me…♪」


夕日のオレンジを飲み込んでいく方の、紺色の空を見上げながら

ご機嫌に智は口ずさむ。(しかも意外と流暢な英語だ、なんで?)



.




「楽しそうねー?」


石の階段の上から声を張ったら、不思議そうにこっちを向いた智が、「…カズ?」と確かめるように呼んだ。


「カズだ…、なにしてんの?」


きょとんとした顔。それを見たら 柄にもなく

ああ、会いたかった…だなんて思った。



「ふふ…(笑)」


俺は、自転車のカゴにカーディガンと、着ていたTシャツを入れた。

砂浜まで走って行って、そこで履いていたサンダルを乱暴に脱ぎ捨てる。


「さとしの真似!!」


ざぶざぶと海に入っていったら、汗をかいた体に 冷たい温度が気持ちよかった。

海面は、遠くで見るよりずっと澄んでいて綺麗だ。

夕日も、うんと近くに見える。


目を瞑って息をとめて、頭まで浸かったら、頭のてっぺんがきゅんと冷たい。

そっと海中で目をあけると、ぼやぼやした青緑の景色が見えて、分かっていたけどヒリヒリと痛んだ。


息が続かなくなって、ザバンと海面に顔を出す…



濡れた目で、しっかりと見た夕日は


今まで見た、どのそれよりも


ずっとずっとキレイだった。



.

この小説の続きへ→←summer vacation



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
185人がお気に入り

アイコン この作品を見ている人にオススメ

設定タグ:大野智 , 二宮和也 , 大宮
関連タグ:気象系 , にのあい , 櫻葉 , 末ズ , on ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きんにく | 作成日時:2020年4月19日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。