違和感の正体 ページ15
FromA
私は先生の部屋の前に着きノックをしたが、いつものは異なり先生の反応は無かった
まだ大広間にいるのかと考えたその時、今日は教職員席に先生の姿が見られなかったことを思い出した
一度同じ廊下に面する薬学教室や倉庫、研究室も見てみたが人がいる気配はせず、やはりドアの下から微かに光の漏れる私室に先生はいると考えられた
「先生、皇です」
何度か呼んでみても返事がなく、私は次第に先生が心配になってきた
無理だと言われれば勿論入浴は諦めるが、なぜかこの扉の向こうで先生が苦しんでいる気がして止まなかった
それにもし話せる状況なら拒否の返事の一つや二つあるはずだ
「心配なので開けますよ…アロホモーラ」
そりゃあこれはダメもとだったのでもう一度杖を構える
「アベルト」
今度は錠がガチャリと音を立てて空いた
「何も無かったらすぐ帰りますから…失礼します」
ドアを開けると、暖炉の火も消えた寒い部屋でソファの上に倒れるようにして横たわる先生がいた
目を閉じており、息が荒い
私は先生の横に駆け寄り、彼の体を揺すった
「先生、大丈夫ですか?先生」
彼はうっすらと目を開けて定まらない視線で私を見た
その時、この前男子生徒の心の声が聞こえたのと同じように先生の声が脳内に流れ込んできた
『私のせいで彼女が死んだ…私のせいで…私が道を誤ったから…』
「っ⁈」
私はそれ以上見てはいけない気がして目を逸らした
その時先生の体が大きく揺れた
寒さに凍えたような動きだったので私は暖炉に火をつけた
「ラカーナムインフラマーレ」
そう唱えた背後で先生が咳き込む音が聞こえた
「大丈夫ですか?」
覗き込むと先生は涙すら浮かぶ目で私を見た
「お前は…」
「皇です」
「Aか…なんで…」
「夕食にも居なかったので心配して…学校癒を呼んできます」
「待て」
そういった先生は私の手首を掴んだ
「呼ばなくていい。大丈夫だ」
「でも苦しそうにしてたじゃ無いですか」
「よくある事だ、気にするな」
「…よくある事?」
私は起した先生をまじまじと見た
よく見ると目の下の隈や血色の悪い唇など、至る所に体調不良が見てとれた
「あぁ、寒い季節には…とにかく心配するな。校癒も先生方も呼ばなくていい」
「でもやっぱり大丈夫には見えないんですけど…」
食事も取らず地下のこんなに寒いところで蹲っていたらそりゃあ体には良くないに決まっている
私は強がる先生に無意識に溜息をついた
「なんだ…どこへ行く」
「先生方には言いませんから…」
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エマ - 「私だってもう教師なのに」という教授のセリフが堪らなく可愛くて悶絶しました。ありがとうございます。 (2月12日 0時) (
レス) @page27 id: 39c076b3bd (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - お話とても面白かったです。この先どうなるのか更新楽しみにしています。 (2023年3月9日 23時) (レス) @page33 id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - 箱さん、コメントをくださり誠に有難うございましたした。 (2023年3月8日 3時) (レス) @page31 id: d439bf7a27 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2023年2月27日 22時) (レス) id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - ユカさん、ありがとうございます。もう少し頻繁に更新できるように頑張ります。 (2023年1月16日 22時) (レス) @page30 id: cffaeac670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nagisa | 作成日時：2022年3月13日 8時
