光明 ページ43
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「先生いないみたいだね」
Aは医務室を見回すと、窓際のベッドへとリドルの手を引いた。
「ひどい顔色だよ」
Aに主導権を握られる形で、ベッドに寝かされているのが、なんだかむず痒い。
「先生には私から説明しておくから、ゆっくり休んで？」
立ち去ろうとするAの手を、リドルは無意識に掴んでいた。
驚きから目を瞬かせるAを見て、リドルの頬に羞恥の熱が集まる。
取り繕うように寝返りを打ち、Aから顔を背けた。
何をしているんだ……！
これではまるで、体調を崩した幼子が母親に縋っているみたいじゃないか。
間抜けもいいところだ。
Aの前で醜態をさらしただけでなく、心細さに縋るだなんて。
格好がつかないにもほどがある。
ふいに頭を撫でられて、リドルは目を見開いた。
「前にリドルがしてくれたみたいに……私もリドルが眠りにつくまで傍にいるよ」
どうして彼女は、いつも一番欲しい言葉をくれるのか。
リドルはAの言葉に、何も返すことができなかった。
今、口を開いてしまうと、これまでのことを全て
滲む視界を誤魔化すように、リドルは固く目を閉じた。
薬品のにおいが鼻をかすめ、リドルは目覚めた。
日が落ち、辺りは薄暗い。
暗闇に目が慣れ始めた頃、思考もクリアになってきた。
あのまま眠ってしまったのか。
どうやら、深く眠っていたようだ。
そのおかげか随分と気分が良い。
気弱になっていたことが嘘のようだった。
思っていた以上に、疲労が溜まっていたのだろう。
リドルはゆっくりと上体を起こした。
「Aは……さすがにもういないか」
ふと窓の外を見遣ると、一番星が目に映る。
その星は、リドルの心に存在するAのように、明るく輝いていた。
リドルにとって唯一の光。
もう二度と失えない光。
その光のためなら、どんなに疲れていようと、リドルはまた走り出すことができるのだ。
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くろさわ(プロフ) - mikittyさん» お返事が遅くなりすみません！評価とお気に入り作者登録ありがとうございます！更新再開しましたらまた読んでいただけると泣いて喜びます！ (4月24日 20時) (
レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 最初から最新話までいっきに読みました。世界観や言葉選び、関係と心の変化、物語の展開、全てにおいてドストライクでした。最高です。お気に入りと高評価させて頂きました！お気に入り作者にもしました！またの更新、とても楽しみにしております！ (3月22日 8時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - とーるさん» →なので、図書室に帰ったとて夢主は笑うことはなく…あまりにもリドルが不憫なので救済エンドを書いてあるのですが更新するか迷ったまま放置してました。。気になるところで切っててすみません！新章もうしばらくお待ちくださいませ！ (11月26日 16時) (レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - とーるさん» 夢主はトムに恐怖心もありますが、悲しみの気持ちの方が強かったりします。好きな人の心を壊したのは自分だと思っているのです。でも、【分岐】で良心を手放してしまったリドルには夢主の感情を理解することは出来ず、すれ違ってしまっているのです。文字制限のため→ (11月26日 16時) (レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
とーる(プロフ) - メリバでトムがずっと勘違いしてるのは主人公から恐怖を抱かれているということから目を背けているんだろうなぁと思うとすごく愛おしいですね。また新章待ってます！エイブリーの正体が気になりすぎる、、、！ (11月26日 10時) (レス) @page46 id: 2c1a894765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろさわ | 作成日時：2022年8月7日 16時
